(8)「エネルギー資源マフィア」ロックフェラーの死
マネーカーストの最上位を占めるハザールマフィアの内部は、大きく2つの勢力に分けられる。
一つは、先に述べたロスチャイルド一族や世界の大富豪として知られるヨーロッパの王室や貴族たちである。
もう一つはがロックフェラー一族やブッシュ一族、クリントン一族らを中心として形成された「ナチス・アメリカ(ナチス派)」と呼ばれるグループである。
第2次世界大戦中にアメリカの中枢を乗っ取った彼らは、アメリカの政治や経済、軍事を長きにわたって支配してきた。しかし、現在、ハザールマフィアの権勢が急速に衰退しつつある。アメリカ経済の低迷、中国の台頭、そしてトランプ大統領の誕生は、ハザールマフィアに弱体化を象徴する大きな出来事と言える。
2017年3月20日、その衰退に拍車をかける事件が起きた。ナチス派の領袖の一人、デイヴィッド・ロックフェラーが死んだのだ。その死の重大さを理解するには、まず「エネルギー資源マフィア」ことロックフェラー一族の歴史を紐解く必要がある。
1868年、オハイオ州の油田からその歴史は始まった。最初は小さな製油所であったものの、当時は新しい技術だったパイプラインを駆使して価格を安く抑えることで次第に事業を拡大していく。そしてわずか10年後の1878年には、アメリカ国内の石油精製の実に90%を独占するようになる。さらには、中近東の石油を管理するサウジアラビア王家を牛耳って、石油支配の手を世界へと広げていく。
ロックフェラー一族が担っていたのは石油産業だけではない。事業を拡大していく中で、軍事産業や金融業、製薬産業などを傘下に収めて絶大な権力を手にするようになったのだ。
「テロ戦争派」の暴力組織ブッシュ一族や国際犯罪ネットワークに通じるクリントン一族と連携し、時にはライバルとして派遣を争いながら、石油、軍、製薬、金融を牛耳り、旧植民地における利権を支配してきたのである。
戦後、ロックフェラー一族を、ひいては世界のダークサイドを支配してきたのは、3代目当主デイヴィッド・ロックフェラーであった。日本に対する属国支配とも関係が深く、「三極委員会」や「ビルダーバーグ会議」「外交問題評議会」と言った組織や会合の会長職に納まり、アメリカの支配力の及ぶ国々に対して勅命ともいえる政策提言を下していった。
長者番付の順位や数字だけを見ていると、一見、デイヴィッド・ロックフェラーの資産は世界を支配するほどには多くないように見える。亡くなる前年の2016年発表の米長者番付「フォーブス400」では214位、資産額は31億ドルである。1位のビル・ゲイツの810億ドルに比べると26分の一である。実際に、欧米の一般社会での認識では、「過去の人間」となっていたようだ。
しかし、その人間が本当にどれだけの富を持っているかは、実は個人資産では計れない。個人資産で評価する長者番付には財団が入らないからである。財団で隠蔽すれば個人資産はいくらでも隠すことができる。実際、デイヴィッド・ロックフェラーが所有している財団をよく調べてみると、ビル・ゲイツを超える「兆ドル単位」の財産を所有していたのである。そして財団を通して大量の株式を所有することで、世界企業の上位、例えば「フォーチェン・グローバル500(世界企業500社番付)」にランクインしているほとんどの企業の実質的支配権を掌握していたのである。
2017年3月20日、このデイヴィッド・ロックフェラーが死んだ。101歳だった。自らをギリシャ神話の「ゼウス」だと周囲に豪語して、戦後70年以上も世界権力ピラミッドの中で絶大な影響力を誇示した。この重要人物の死によって、権力が空洞化し、世界のパワーバランスは大きく崩れ、組織の弱体化が加速しているのだ。結果、アメリカ国内の力関係も、権力を使って悪事を隠蔽しようとするハザールマフィアたち「ダークサイド」勢力から、人権や民主主義、法治国家、言論・表現の自由と言った従来の欧米文明にある善の部分を持った「ニューエイジ」勢力へと大きく傾きつつある。そして、アメリカ国内の権力の移行は、そのまま世界の権力の移行を引き起こしている。