(1)マネーカーストとは何か?
これはベンジャミン・フルフォード著「マネーカースト」の要約である。マネーカーストとは、世界経済がもたらす「新・貧富の階級社会」を意味する。
マネーカーストと聞くと、「社会における貧富の差があるのは仕方がない。日本には身分や階級はなく、機会は平等に与えられている。資本主義は自由競争であり、お金持ちになりたかったら、がんばって仕事で成功すればいいだけのこと。どちらかと言えば、個人的な問題だろう」と思われる方が多い。または「テレビで、日本の景気が回復に向かっていると言っていた。株価も上がっていると聞くし、そのうち会社の給料も上がるのではないか」と自分には関係ないと感じた方もいるかもしれない。
だが、もう一度考えてほしい。毎朝ラッシュアワーの電車で職場に行き、夕方以降はサービス残業。月給は常に最低生活費ギリギリで、貯金するだけのお金が残らない。いつまでも親と一緒の実家暮らしか、狭いワンルーム住まい。正社員採用の道は閉ざされており、いつになっても派遣・契約社員のまま。結婚できたとしても先々への不安から、子供を持つ気になれない。今の日本で、このような生活を送っている人々は少なくない。果たしてこんな生活が本当に「仕方がない現実」なのだろうか?
アメリカ市場株価及び日経平均株価は、近年まれにみる上昇を示している。だが、この数字上の好景気によって、あなたの生活水準が上がったと実感できただろうか。実際には賃金は一向に上がらず、物価や税金は上がる一方。結局、何の恩恵も受けていないのではないだろうか。断言してもいい。あなたの生活は絶対に豊かにならない。なぜなら、現代は「マネーカースト」で経済的に階級化された不平等社会だからだ。
ヒンズー教のカースト制は、4つの階級に別れており、ピラミッド型の構造になっている。だが、マネーカーストは、富める者と貧しいものと言う2つの階級のみ。比率も1%の超富裕層対99%の貧困層となっている。世界の富を独占する1%の資産家は、残りの99%を貧民と見ている。つまり、世界経済は、新たな貧富の階級社会を生み出しているのである。
「国際NGO「オックスファム」は、2018年1月22日、世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を、世界で最も豊かな上位1%が独占し、経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかったとする報告書を発表した。資産の偏在が格差拡大を招いているとして、世界の指導者に対して対策を呼び掛けた」(朝日新聞デジタル)
この記事から分かるように世界の富は、富裕層の中でもより上部へと集めつつあるのだ。
アメリカではビル・ゲイツ、ジェフ・べゾス、ウォーレン・バフェットの3人が、アメリカの人口の半分、つまりは1億6000万人分の資産の合計より、多くの富を持っているという異常な状況が生まれている。現在のアメリカで急増しているのは、「借金地獄」である。多くのアメリカ国民が住宅ローンや学生ローンなどの借金の焦げ付きで逮捕されて、民間刑務所に収容されている。推定で7700万人の借金が民間機関に回収業務(取り立て)を移管されたという。さらに、28ドル(約3000円)の借金を理由に債務者が逮捕された事例を報じている。取り立て屋たちは債務者を民間刑務所にぶち込み、馬車馬のように働かせているという。
債務者の投獄は、州法及び連邦法により禁じられており、これは明らかに違法行為である。しかし、アメリカではこのような「借金地獄」が現実にまかり通っている。アメリカで起こったことは10年後に日本でも起きる。
なぜ、このような史上最悪の経済格差が生まれ、広がりつつあるのか? 富を独占する人間たちが、そうなるように仕組んでいるからだ。1%の富裕層ーさらにその1%を支配しているわずか700人の人間が世界をそのように導いているからだ。
たった700人で構成された寡頭勢力が絶対的な権力と暴力を持ち、独裁的な経済システムを作り上げて、壮大なペテンにかけることによって、世界中の富を吸い上げ、独占し、管理しているのである。結果、彼らの息のかかっていないアメリカ大統領ドナルド・トランプが生まれた。世界金融を牛耳っていたロンドン・シティも、宗教を通してこの世界に大きな影響を持っているバチカンも、大きな変動機を向かている。さらには、世界経済の覇権は、アメリカ(米ドル)から中国(人民元)へと移行しようとしている。世界は大きな転換期に差し向っている。日本経済の未来も、あなたの家族の生活も、世界の大変動の影響下にある。明日を生き延びるためには、世界の現状の向こう側にある真実を見つめなくてはならない。