(31)エネルギー解禁! 各国の開発競争が過熱する
石油王の死は、石油文明の終焉を予感させる。それは、「火の文明」の終息であり、「緑の文明」の夜明けなのだ。ガソリン車からEVシフトなどは、その典型だ。つまり、石炭・石油などの化石燃料から、太陽・風力・波力・地熱などの自然エネルギーへのシフトである。石油王が最も妨害・弾圧してきたのが、この「火」から「緑」へのエネルギー革命だ。しかし、その石油利権の権化であるデイヴィッド・ロックフェラーが死んだ。これまで以上に、自然エネルギー開発が加速されることは間違いない。
それにしても不思議なのは日本である。自然エネルギー開発からも取り残され、まさに世界の孤児状態なのである。緑の技術でも日本は世界の落ちこぼれである。その典型が風力発電の伸び率だ。再生可能エネルギーの比率も同じである。世界の風力発電導入量は、右肩上がりで、倍々の勢いで増えているが、日本の発電量は全く増えていない。グラフ横軸に張り付いたままである。海洋国であり、弧状列島の日本は、世界でも風力発電のベスト・ロケーションと言われている。それが、この惨状なのだ。再生可能エネルギーの導入も同じ。それは、全エネルギー比率の0・4%であり、デンマーク、スウェーデン、カナダなどの先進諸国に比べて限りなくゼロに近い。この驚愕するほどの低比率は、現在も全く変わっていない。
この惨状を、日本人は誰も知らない。政治家も、経済人も、そして国民も全く知らない。それはメデイアが真実を全く伝えていないからである。世界のマスコミはイルミナティに支配されてきた。これは常識だ。しかし、この日本での情報支配は度が過ぎる。自然エネルギーの国際比較すら、全く国民は知らされていない。それだけ、秘密結社によるメデイア支配は貫徹しているのだ。最近、ようやく「日経新聞」が「日本は環境技術でも崖っぷち」と言う特殊記事を載せたそうだ。それに対して中島浩一氏は「とっくに崖から落ちている」と、苦笑いで。船瀬氏に言ったという。
船瀬氏は1992年に「エコエネルギーQ&A」をまとめた時、日本が多様な自然エネルギー大国であることを実感したという。当時ですら、「日本に石油は一滴もいらない。ウランは一粒もいらない」と確信したという。1990年クリスマスに、ロッキー山脈の中腹にある「ロッキーマウンテン研究所」を訪問した。そこにはアメリカでもっとも有名なエコハウスが雪に埋もれていた。出迎えてくれたのはエモリー・ロビンズ博士である。彼は若くして「ソフト・エネルギー・パス」と言う著作で世界の注目を浴びた天才である。自然エネルギー研究者として世界屈指の評価を得ていた。研究所は自然エネルギーの利用で胸のときめくような設備に満たされていた。その博士が、「日本は世界でも最も豊かな自然エネルギー大陸です。さらに人材、企業、資本も豊富です。日本人は自然エネルギーの活用で世界に貢献していただきたい」とメッセージをくれた。
船瀬氏はそのメッセージを胸に感動とともに帰国し、前述のような著作をまとめてきた。しかし、日本の新エネルギー開発、導入の惨状に打ちのめされた。知識、やる気、勇気すべてゼロである。この国は一体どうなっているのだ?