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世界皇帝の死(25)

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(25)ダイナマイト発明者の苦悩が生み出したノーベル賞

 ノーベル賞の別名はロックフェラー賞である。ノーベル財団に、ロックフェラー財団が、多額の資金援助をし続けてきたからだ。つまり、ノーベル賞の実態は、ロックフェラー支配下の国際名誉賞なのだ。だから、その威光には逆らえない。もちろん、世界中の多くの人々は、この世界最大の祭典でもある名誉賞が闇の魔王の支配下にあることなど、とんとご存じない。しかし、同財団の選考委員も、隠然たる闇の力を無視して、ことを進めるわけにはいかない。何事にも表があれば裏がある。

 そもそも、ノーベル賞の由来からして、ロックフェラー一族とは切っても切れない因縁がある。ノーベル賞は1901年、アルフレッド・ノーベルの遺言によって設立された。ノーベルはダイナマイトの発明者として知られる。彼は土木工事などに、大変な尽力が注がれていることに心を痛めていた。その多くは、過酷な労働条件で働いている。それは奴隷労働にも等しい現場だった。これらの苦役から解放したいと念じて、開発したのが爆薬ダイナマイトだった。なるほど、これは工事現場などで威力を発揮した。しかし、ノーベルの予想に反して、土木現場以上に威力を発揮した場所があった。それが戦場である。ダイナマイトの破壊力は、凄まじく、それは砲弾、爆弾など殺傷兵器に最適だった。世界の兵器産業は、こぞってダイナマイトに殺到し、それを応用した殺戮兵器を多種多様に大量生産した。

 愕然としたノーベルは苦悩した。ダイナマイトの特許で莫大な富を得たものの、彼の気持ちは沈んだ。そこで、彼はこれら莫大な富で財団を創設し、人類の文化、平和、学問に尽くした人々を称える賞の創設を考えた。それは、自らが発明した爆薬ではからずしも命を落とした犠牲者たちへの鎮魂の思いが込められていた。その思いは、遺言に従って、遺族らにより実現された。内容は、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和及び経済学の「5分野+1分野」で、世界的に顕著な功績を上げた人物に贈られる。ここで、経済学賞だけはノーベルの遺言にはない。それは、スウェーデン国立銀行設立300周年祝賀としてノーベルの死後70年後に当たる1968年に設立されたものだ。(しかし、ノーベル財団は、これをノーベル賞とは認めていない)

ノーベルは、総資産の94%を賞の基金として残した。死後ノーベル財団が創設され、授与機関にはノーベル賞委員会、スウェーデン王立科学アカデミーなどが選別されている。

 選考は「物理学賞」「化学賞」「経済学賞」はスウェーデン王立科学アカデミー、「生理学・医学賞」はカロリンスカ研究所が、「平和賞」はノルウェー・ノーベル賞委員会、「文学賞」はスウェーデン・アカデミーが行う。なお受賞対象者は個人だが、平和賞のみ団体の受賞が認められている。

 以上の経緯を見ると、ノーベルの懺悔の思いと真摯な願いが伝わってくる。以来110余年が経過して、いまやノーベル賞発表と受賞は世界的セレモニーとなっている。日本ではノーベル賞受賞者となると、まさにカネや太鼓で祝うがごとく有頂天ぶりとなるのも、ご存じのとおりである。他方、ノーベル賞そのものには、冷ややかな批判もある。バーナード・ショーは、辛辣な言葉を投げかけている。「殺生と破壊の手段であるダイナマイトを発明し、金を儲けたノーベルの罪も大きいが、世界の人材を序列化するノーベル賞を作ったのは最も許せない罪である」

 ノーベル賞は、今や、世界最高の栄誉であり、これを渇望する人も多い。さらに、受賞者と非受賞者との立場も、天と地ほどの開きが生じてしまうのだ。

 さて、ここからが本題である。世界中が熱狂するノーベル賞を、20世紀を支配してきた世界皇帝が見逃すはずがなかった。まず、ロックフェラー一族が、アメリカをはじめ世界の医療利権を一手に支配してきた事実を忘れてはならない。ロックフェラー財閥は独自のロックフェラー研究所を創設し、それをロックフェラー大学としている。魔王は、これを世界の学問支配の基地とした。ロックフェラー研究所で彼らの手先として使われたのが日本人医学者野口英世である。

 野口英世と言えば、偉人中の偉人であり、小学校で習う偉人伝では筆頭に登場する人物だ。何しろ1000円札に印刷されているほどの人物である。清廉、高潔な人物と誰しもが思う。しかし、実態は真逆の人物だった。野口は、様々な病原体を突き止めたと、その業績を称えられている。しかし、今や、その多くは捏造だったと指摘されている。彼はヘビー・ドリンカーでプレイボーイとして有名だった。ロックフェラー財団は、その彼を広告塔として医学界スーパースターに祭り上げ、徹底的に利用したのである。


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