(24)コンクリート住宅は9年早死にする!
マンションなどコンクリート住居と木造住宅の住民の平均死亡年齢を比較するとコンクリート住宅のほうが約9年も早死にしていたのだ。その理由が、コンクリート素材による冷輻射による「冷え」である。冷輻射とは熱輻射と反対作用である。氷柱に手のひらを近づけるとヒンヤリする。手のひらから熱が奪われているからだ。同じようにコンクリート建築では、体熱が奪われる。冷えは万病のもとと言う。それは冷ストレスとなり、病気や短命の理由となる。
それを証明する実験結果がある。コンクリート製巣箱で、生まれたてのネズミの赤ちゃんを100匹飼うと、コンクリート巣箱では7匹しか生き残らない。木の巣箱は85匹も生き残れる。コンクリートの12倍以上の生存率だった。さらに、コンクリート巣箱では母ネズミは子供をかみ殺して食べるという残忍な行為を見せる。父親ネズミは他のネズミに襲い掛かり、噛み付き、血まみれにする。昨今の家庭内暴力や学校のいじめそのものではないか。人間もコンクリートの集合住宅に住み、学校に通っている。逆に木造の巣箱では、母ネズミは優しく子供に授乳し、父ネズミもおっとり平和だ。建築素材で、これほど寿命と心理に大差が生じるのだ。
しかし、これら島根大学の論文、静岡大学等の警告は、一切、建築界から黙殺された。そして、時の建築界を席巻していたのがコンクリート打ちっぱなしブームだった。教祖はあの安藤忠雄氏だ。高卒の建築士として、彼は建築界のスーパースターに躍り出た。マスコミの寵児となり、メデイアは彼の動向を追いかけた。彼を操っていたのはコンクリート・鉄鋼業界である。こうして全国にコンクリート打ちっぱなし建築が雨後の筍のように林立した。教祖を神輿に担ぐ業界は、笑いが止まらない。鉄筋コンクリートで住民は病が止まらない。コンクリート校舎で生徒にいじめが止まらない。ブッラク・コメディのような悲惨な状況が蔓延した。コンクリート・ストレスの存在は、不都合な真実だった。しかし、魔王ロックフェラーの死で、タブーの堰は一気に崩壊した。
船瀬氏は内陸部に「森林都市」の建設を呼びかけている。その理由は、東日本大震災の惨状を思い浮かべていただければわかるだろう。さらに、南海トラフ巨大地震が差し迫っている。内閣府・中央防災会議の予測ですら、死者は想定32万人・・・。しかし、現実にはそんなに生易しいものではない。東日本大震災の犠牲者発生状況をコンピュータ・シミュレーションで当てはめた南海トラフ地震の犠牲者数は、350万人である。どうしてこのような戦慄の犠牲者数になるのか? 南海トラフで発生する津波は太平洋ベルト地帯を襲う。その津波の高さは20~30m級であり、5m以上の津波が襲うベルト地帯に住んでいる人口は、2200万人である。彼らの多くは、確実に津波の怒涛に一瞬にして呑まれる。だから、海岸都市から内陸都市への非難が焦眉の急である。
海岸文明で栄えた「火の文明」は最後に、恐ろしい牙をむいて襲ってくる。森林文明で栄える「緑の文明」に早急に移行すべきなのだ。さらに、木造都市を推進するのは、地球温暖化の問題がある。
重さ100キロの柱1本の半分は炭素である。それだけ木材は二酸化炭素を固定する。山の木を伐って木造都市を建築すれば、木材が二酸化炭素を固定する。木造都市を建設することは都市を第2の森にすることだ。つまり、温暖化を防止し、人類がこの地球上で生き延びる道を拓いてくれるのだ。