(33)どんなに凄い技術でも既得権を潰すようなものは、日の目を見ない!
高野「僕の住んでいる隣の富山県にある人がいて、単3の乾電池1本で、このくらいの水槽の水を一発で凍らせてしまう変な機械を・・・・」
飛鳥「変な機械って、無茶苦茶じゃないですか」
高野「乾電池の大きさはこんなものですよ。それを水の中に入れるんです。しばらくすると、バリバリバリと言って凍り始めるんです。全部カチンコチンの氷になります。冷却する媒体よりも物凄く効率がいいので、それを大手の会社に売りに行ったことがあるんです。目の前で現象を見せても、「今こんなものを出されると、ガスで冷却する方法が売れなくなります」と受け付けてくれなかったんです」
飛鳥「そういうことは多いですね。20年前に洗剤のいらない洗濯機が発明されたんです。マイクロバブルと言う泡を出すだけで、洗剤がいらないんです。でも大手の会社に潰された」
高野「だって、カラーテレビは白黒より先にできていたんだから」
飛鳥「そうそう。最初からですよ。NHKでもちゃんと展示していますよね」
高野「カラーテレビが先に実用化されたのです。でも、メーカーは白黒を先に作って売ったんです。カラーは後で持ってこようと思って」
飛鳥「あれはどこが作ったの?」
高野「町の小さな会社です。例えば、日立が作ったんだけれども、5ミリ四方の薄っぺらいタグを商品に全部つけておくんです。そうすると、飛行機に乗るときに通るゲートと同じで、計算を待つ必要ないんです。レジを通す必要が全くない。全部一発で終わるんです。だけど、それをやると、女性たちのアルバイトがなくなってしまう」
竹本「仕事がなくなっちゃう」
飛鳥「それは家計を助ける女性にとれば大変なことですから。これを国際化するときは、アメリカとヨーロッパが手を組んで、こんな大きなタグを作り、協力して欧米式のタグを標準にしてしまった。その後、タグデータをプリントするという方法が考えられている。本当はすぐ出した方がいいんだが、諸事情から難しい・・・」
竹本「出せない。流通関係の問題とかね」
飛鳥「それはまだかわいらしいですよ。それならわかるんだけど、軍事はひどい」
高野「出さないですね」
飛鳥「名前は絶対言えないが、ある企業が、ステルス戦闘機が見えるレーダーを作った」
竹本「ステルスじゃなくなるね」
飛鳥「これを日本のある町工場が基本形を作った」
高野「ビジブル(可視)になっちゃう」
竹本「わかった。それはマスプロアンテナじゃないの?「見えすぎて困るの」と(笑い)。違う?」
飛鳥「懐かしい。面白い」
竹本「面白いでしょう。たまには言わないとね」
飛鳥「でも、こういうような話をこの3人でやると、延々とドツボにはまっていきますね」
竹本「そうですね。面白いですね」
高野「軍事特許と言うのは、本当に軍事に使えるものは一切公開しないです。僕はNASAとずっとかかわっていて、NASAのテクノロジーは凄いものがあるんです。例えば、戦闘機なんかで、パラシュートを使わずに上空から戦車を落としても壊れない。それを最初に考え出したのは、バイキング計画のときに発明されたエアジェルなんです。エアゼリー。あれはショックアブソーバーなんです。もし火星でパラシュートが聞かなくても、そのゼリーの中に包んで落とせば、着陸船は一切壊れない。もの凄く緩衝能力を持っていて、すごい緩衝材なんです。それが後々にスピンオフされて、何ななったかと言うと、女性のマスカラですよ。マスカラをよく見てください。エアジェルと書いてあります。あれはもともと軍事機密なんです」