(1)童謡「カゴメ唄」は、籠神社の暗号歌だった!
これは飛鳥昭雄・三神たける著「失われた天照大神の大預言「カゴメ唄」の謎」の要約である。結論から先に言うと、「籠の中の鳥」とは天照大神(イエス・キリスト)のことだった。謎の童唄に隠された神道奥義はイエス・キリストの再臨だった。
2013年3月11日、日本では未曽有の天災、いわゆる東日本大震災が発生した。東北地方を中心にしてマグニチュード9の巨大地震が襲い、それに伴う巨大津波や福島第1原発の事故という惨事に見舞われ、その爪痕は今も深く残っている。
折しも、翌2012年12月21~23日に古代マヤの長期歴が終わりを迎えることから、世の終末が訪れるのではないかと、世界中で無気味な噂が流れた。これまで人類は4度の滅亡を経験しており、今が第5番目の世界だとマヤ族は考えている。長期歴の終わりが第5の世界の終焉に違いないというのだ。
かって世の終末が訪れると警告を発していたマヤ族の長老たちは、期日が近づくと徐々に言動を弱め、本当の変化は目に見えない形で起こるといい、全世界からの問い合わせに辟易した様子だった。それでもマヤ預言を信じる人たちは後を絶たず、1999年のノストラダムスの大予言以来の騒ぎとなった。
実際、2012年12月が近づくと、マヤ歴の終焉を終末預言だと考える人たちが世界各地でスピリチュアルな行動に出た。
日本では天皇家の神道、「伯家神道」の預言が関係者の間でささやかれていた。口伝によれば、伯家神道の「祝(はふり)の神事」を受けていない天皇の世が100年続くと、日本が滅ぶという。祝の神事を最後に受けたのは明治天皇で、以後、大正天皇と昭和天皇、そして今上天皇は受けていない。2012年は、明治天皇が崩御されて、ちょうど100年目を迎えた。かくして、日本は滅亡の淵に立たされたというわけである。しかも、2013年は伊勢神宮が式年遷宮を迎える。20年ぶりに内宮と外宮の両方が遷御の儀式を経て、正殿を移し替える。出雲大社も60年ぶりに遷宮を行う。伊勢神宮が天照大神なる天津神を祀る天尊属の神社であるのに対し、出雲大社は国津神を祀る出雲族の神社である。太陽をシンボルとする伊勢神宮と雲をシンボルとする出雲大社は互いに陰陽の関係にあり、両者が同じ年に遷宮を迎えるのは60年ぶりであり、史上2回目である。
東日本大震災とマヤ預言、それに伯家神道の預言が重なり、いよいよ伊勢神宮と出雲大社の遷宮が執り行われようとした2013年6月、飛鳥昭雄氏は、鴨族に奥義公開を迫った。しかし、鴨族から返ってきた答えは「待て」だった。かくなる上は、突破口は「本伊勢」しかない。再び飛鳥氏は丹後の籠神社へと向かった。籠神社は丹後一宮にして、元伊勢の一つ。内宮のご神体である八咫鏡が安置されたことがあるのみならず、外宮の祭神である豊受大神は籠神社から直接、勧請されている。内宮と外宮の両方の元伊勢ゆえ、籠神社は本伊勢とも称す。日本神道の奥義は籠神社に隠されている。
丹波国造82代、海部光彦宮司が現れた。飛鳥氏がこう切り出した。
「お約束のとおり、鍵の秘密をご教授いただきたく参りました」
海部宮司は「海部氏本系図・勘注系図」について言及した後、こう続けた。
「かって籠神社は「匏宮」と称してきました。「匏」とは瓢箪のことですが、古来、縁起物の意匠として描かれてきました。当社では、ここに神道の深秘があると伝えられております」
伝承によると、籠神社の奥宮である真名井神社を「匏宮」と呼んできた。「匏」とは「天吉匏」のことで、「吉匏」は瓢箪を意味する。後にヨサヅラという音から別名を「与佐宮」や「与謝宮」とも称してきた。
瓢箪には隠された意味がある。籠神社が瓢箪に込めた奥義とは何か?
「瓢箪は真ん中がくびれております。上と下のふくらみは天と地を意味しているのです」
なぜ、食べ物を持って表現しているのかといえば、籠神社の奥宮、真名井神社の主祭神が豊受大神、すなわち食物を司る神であるからに他ならない。また、中国の道教では「壺中天」と言って、瓢箪の形の壺には仙界が広がっており、そこに仙人が住むという話もある。その意味では瓢箪が天と地を象徴しているという話は一理ある。さらに、日本神話では、イザナミ命とイザナミ命が国生みをするが、絵画で表現されるとき、しばしば天地創造のエネルギーは瓢箪形を持って描かれる。極論すれば、瓢箪は、この宇宙創造のシンボルだと言ってよい。
「壺や水筒として使用する場合、蓋や栓が施されますね。その際、瓢箪の上、茎とのつながりを「蔓=ツル」といい、下の水を入れる部分は「甕=カメ」といった。籠神社では、この「ツル」と「カメ」をそれぞれ「鶴」と「亀」と説きます。これが何を意味するか分かりますか」
「いうまでもなく、鶴と亀は縁起物であり、瑞兆として知られています」
「ええ、その通りですが、何か気づきませんか」
「籠神社の極秘伝という意味でしょうか」
「すべては名に隠されています」
「鶴と亀、そして籠神社・・・」
「お分かりかな」
「ひょっとして、それは童歌の・・・」
「ええ、そうです。カゴメ唄です。童唄「カゴメ唄」は鍵神社の極秘伝、世にいう隠し歌なのです。しかも、そこには幾重にも深い意味が込められているのです」
まさに言霊である。「カゴメ唄」の暗号は和歌の掛詞のように重層的な仕掛けが施されている。実は、これこそ飛鳥氏が求めていた神道奥義を解き明かす鍵に他ならない。謎を解く鍵そのものが暗号になっている。今日まで隠されてきた神道奥義の封印を解く鍵が、実は、日本人なら誰でも知っている童唄に隠されていたのである。