(25)微量毒を薄めて無にして強く振ると効能が残る!
ハーネマンは、逆に考えた。「熱を出させた方が早く治る」 これは、まさにコペルニクス的転換であった。発熱作用は、振り子が正常の位置に戻ろうとする表れなのである。振り子を止めずに、逆に加熱してやる。すると、より早く振り子は、正常な垂直位置に戻る。つまり、熱病は治る。
そこでハーネマンは、自分の家族、友人、生徒などを実験者に、様々な物質投与を試みた。その時に用いたのが、様々な症状を起こす微量の毒物である。それらをレメディと呼ぶ。例えば、熱病を治すには、同じ熱を出す微量毒を使う。だから、ホメオパシーは、日本語では同種療法と呼ばれている。しかし、彼は患者に毒物をそのまま投与するような無茶はしていない。彼は、まず「水で薄めれば、毒性は弱まる」と考えた。ところが、希釈を繰り返すと毒性は弱まるが、治療効果も無くなってしまう。そこで、ハーネマンは特殊な手法を考案する。それは「容器を強く振る」ことである。この方法は、ある種の毒が持つ有害な作用を、取り除くだけでなく、治療効果もあることが判った」(「ホメオパシー入門」)
とにかく、ホメオパシー医療に置いて、レメディの希釈率は半端ではない。薄めて、薄めて、極限まで薄めると、「分子も存在しない」と言う薄さになる。つまり、「物質は存在しないのに、効能は存在する」のである。
現代医療の体制に認められない理由がここにある。「存在しないものが病気を治す」ことは、科学の根本理論から絶対にありえない。批判派は鬼の首を取ったかのように、ここぞとばかり攻めたてる。こうして既成医学者たちはハーネマンの提案を嘲笑い、一笑に付したのである。
しかし、ハーネマンはこう考えた。
「希釈によって、毒性を消し、さらに強く揺すって振とうさせる方法で、「物質のエネルギー・パターン」が溶液に写る。よって、物質(毒)そのものを服用する必要はなくなる」
そしてハーネマンは①希釈、②振とうーの過程を「ダイナマイゼーション(潜在力活性化)」と命名する。実際に、彼は多種多様なレメディを用いて、数多くの患者を治癒に導くことに成功している。彼の「自然治癒力を強める」治療法は、目を見張る臨床効果を上げたのである。彼は数多くの臨床例と共に、その理論を論文として世に問う。しかし、返ってきたのは既成医学界の嘲笑と冷笑だった。
ハーネマンが確立した画期的なホメオパシー療法は、そのメカニズムに不明な点があっても、実際に病気に苦しむ人々を救った。医学界からの反発があっても、患者の側からは、圧倒的な支援を受けた。ハーネマンはこれらの支援を支えに、ホメオパシー理論の実践の集大成を「オルガノン」と言う著作にまとめている。それは今でもホメオパシー医療の原典となっている。
こうしてホメオパシー医療は既成医学界の妨害にもかかわらず、欧米に深く、静かに広まっていった。それは明らかに薬物療法より、はるかに多くの病気を完治させたからである。こうして、ハーネマン没後も、その理論は後継者たちに受け継がれ、世界中に広まっていき、今日に至る。
一時、ロックフェラー医療マフィアが台頭して、代替医療を徹底的に弾圧した時、同種療法も弾圧の憂き目をみる。しかし、近年、薬物療法の無効、残酷さが明らかになるにつれ、他の代替医療同様、ホメオパシーも再び脚光を浴びるようになってきた。
ホメオパシーを教える専門医療学校も世界各地に設立され、医療資格を持つホメオパシー医師も急増している。西洋医学の医者でも、一念発起してホメオパシーを学ぶ研究者が増えている。
ロックフェラーは薬も飲まない、医者にもかからない。それなら、私たちもそれを見習えばよいのである。