(21)手術をすると癌が暴れる!
(メスを入れ、癌が暴走する)
「手術で癌が暴れ出す」と警告するのは、近藤誠医師である。本物の癌にメスを入れると、局所移転で癌が暴走する。癌の局所移転と言うのは、外科医が手術でメスを入れた所に次々と再発巣が現れることであり、より厳しい再発の仕方である。だから、近藤医師は一貫して「癌手術はするな」と主張している。その根拠の一つに、「手術で癌が暴れ始める」という現象がある。癌を切除手術で取り除く行為が癌手術である。ところが、切除手術を受けて間もなく、メスを入れた所に、再発が一気に出る。そういう患者が多いのである。
(3キロも臓器取られた逸見アナ)
「大腸癌の切除手術を受けてすぐ、腹膜転移が一気に出てしまった方がいた。手術の際に、メスで傷つけられた腹膜に、癌細胞が集まり、通常では考えられないペースで増殖してしまった」と近藤医師は言う。腹膜転移が出やすい癌は、大腸癌、胃癌、膵臓癌、胆管癌、卵巣癌などである。つまり、これらの癌を安易に手術すると、一気に癌が暴れる恐れがある。その典型が、アナウンサーの逸見政孝氏である。胃癌で3度にわたる過酷な手術を受けた。最初の手術ですぐ腹膜に移転する。こうして3度の手術で摘出された臓器の総重量は3キロにも及んだ。
(癌細胞が集まり急激に増殖する)
近藤医師は「メスを入れた所に、癌細胞が集まり急激に増殖を始める」という。具体的には、「初発巣にメスを入れると、当然、出血する。そして、本物の癌であれば、血液中に癌細胞が入り込んでいる。つまり、癌細胞が出血と共に流れ出てメスを入れた部分にとりつく」「メスで傷つけられた部分には、破壊された組織を修復するための、様々な物質が分泌される」「サイトカインなどと呼ばれるそれらの物質の中には、組織修復のため細胞分裂を促進する物質も含まれており、その促進物質が傷口に取りついた癌細胞を急激に増殖させていく・・・」「癌は犬・猫と同じで、苛めると牙をむく」と言う。
(外科医の悪魔のささやき)
「癌が本物なら、手術をしても転移は必ず現れてくる」「だから、どちらにしても手術を受けるだけ損である」「癌で長生きしたいなら、我慢比べしかない」「我慢できない人は、残念ながら手術を受けて早く死ぬ・・・」(近藤医師)
「初発巣を切除すると、転移巣の増大スピードが急加速する危険性がある」つまり、「のんびり癌」が「凶暴癌」に変身するのである。
たまたま健診を受けて大腸癌が見つかった場合、近藤医師が相談を受けた患者のケースである。
「狭窄はあったのですが、通過障害はなく、食事は普通に取れていました。切除手術を勧められているが、どうしたらいいのでしょうとの相談だったので、転移巣が暴走する危険性を説明したうえで様子を見る方法もあるとお伝えした。ところが、その後、外科医の勧めに従って手術を受けてしまった。そうしたら、僅か数か月で、肝臓への転移が出てしまった。初発巣の切除が引き金になって転移巣が大暴走してしまったのです」
こうなると、手術を勧めた外科医の声は、まさに悪魔のささやきである。
やはり、主治医の勧めで膀胱癌で膀胱を全摘された中年男性の例は次の通りである。
膀胱を全摘すると男性機能を失うことがある。多くの患者は、それを失って初めて愕然としてしまう。気の毒なことに、手術から間もなくして、その男性に転移巣が次々と出現してきたのである。
(癌自身の暴走抑制ブレーキ)
癌を切ったら、転移癌が暴走するメカニズムは次の通りである。
最初の癌から、転移巣の成長を押さえ込む不思議な物質が分泌される。その物質名は、「エンドスタチン」「アンギオスタチン」と言う2つの物質である。それらは、癌自身が成長するために必要な「血管新生」を阻害する働きをする。癌自身にも自らの暴走を抑制するブレーキ剤が出ている。その初発巣を手術で切除してしまうと、転移巣の増殖を押さえ込む「エンドスタチン」などの分泌は失われ転移した癌は暴走してしまうのである。「大腸癌手術をしたら、転移の無かった肝臓が急に膨れだし、正常な重さ1・5キロが転移巣では10週間で4・7キロになり死亡。原因は手術以外にはありえない」と米医学誌も断定している。