(7)傷を消毒しない新しい外科治療
「どんな傷でも消毒してはいけない」と高野弘之医師は断言する。「これまでの消毒法は間違っていたのです」 これには耳を疑う人がほとんどであろう。私たちは、小学校の時から、「傷から黴菌が入るので、きちんと消毒しましょう」と習ってきた。だから怪我をしたら赤チンやオキシフルなどで消毒していた。それが全く、要らないとは・・・・では、どうしたらいいのだろうか?
「流水で傷口を洗うだけです」 これには昔の消毒法に捕らわれている医師、保健師も絶句するはずである。
普通、傷口を消毒した後は、ガーゼを当てて、さらに包帯をする。ところが、「ガーゼ、包帯をしてはいけません。傷口にくっつき、治りが遅く、ひどくなります」と高野医師は言う。ではどうしたらいいのでしょうか?
高野医師の指導は次の通りである。
「台所用のラップを用意します。それで傷口をくるむのです」
ポリラップでくるむのなんて、啞然とするが、高野医師は笑顔でこう言う。
「これで跡形もなく傷はきれいに治っていきます」
これまでの傷治療の常識は、傷口を殺菌消毒する。乾燥させて、軟膏を塗って、ガーゼを当てて、包帯をする。これらを全て「やってはいけない」と言うのである。
乾燥させてはいけない。薬を塗ってもいけない。ただラップで覆うだけとは・・・・びっくりするばかりである。さらに高野医師はスライドで完治した例を示し、本当に傷は跡形もなく消えているのである。
「もっともおすすめは火傷の治療です。これまでは、自分の皮膚を剥いで移植するのが常識でした。しかし、パッチワークみたいに醜く跡が残ります。成長期なら、成長と共に張り替え手術が必要です。それにはあまりにも過酷です。火傷も水で洗いラップで覆えば、全く跡も残らず、健康な皮膚が再生するのです」
この謎は、千島・森下学説が解明している。つまり、傷口や火傷面の細胞は、いったん万能細胞に戻り、改めて各体細胞に再生するからである。殺菌用の消毒剤は、その万能細胞を、殺し、傷つける。そのため治療しても醜い傷跡やケロイドが残るのである。
(10日寝込むと10年老ける)
日本の寝たきり老人は、実は「寝かせきり老人」である。「70歳以上で入院して寝たきりだと、1日で1年老ける」という。専門医は恐ろしい警告をしている。その最大の理由は、筋肉の衰えである。「使わねば衰える」が全てを語る。それは人体のあらゆる組織、臓器、器官に言える。だから、誤解を恐れずに言えば、「老人に楽をさせてはいけない」のである。完全介護などもってのほかである。ところが、日本の介護は、箸の上げ下げから、上膳据膳までやってあげる。極端に言えば、老人は口を開けるだけで食べ物をスプーンで入れてくれるのである。介護士たちは、何から何まで面倒見るのが介護だと教えられている。だから、疑問に思わないのである。介護施設で働く人によれば、1日百人もの身体を洗うという。これは重労働である。自分の身体くらい自分で洗わせたらどうだろうか。日本の寝たきり老人の数は、欧米の約5倍と世界最悪である。それが介護ビジネスの市場となっている。
(北欧は天国、日本は地獄)
完全介護の最大の弊害は、年寄りに依存心を植え付け、さらに、大問題は運動機能が衰えることである。つまり、筋肉が衰えるのである。それは生活能力の衰えに直結する。足が衰え、車椅子になり、手も衰えて、ベッドに寝たきりになる。保険会社に勤める人が北欧の老人施設を視察してこう断言した。「あちらは自立させることが目的で天国、日本は自立させないので地獄。北欧は笑顔が明るいが、日本は顔が死んでいる」
アメリカは病人大国と言われるが、100歳以上は日本の3倍もいる。さらに、日本の百寿者
は寝たきり介護が多い。これに対して、アメリカは自分で自分のコーヒーを入れたり、散歩したり、元気である。この違いはジム・トレーニングなどの習慣の違いである。つまり、年寄りは背が縮み、腰が曲がる。それは、筋肉の衰えが原因である。だから、アメリカでは、高齢になるほど本気で筋トレを行う。老後の蓄えは「貯金」より「貯筋」である。
もう一つの致命的過ちは、朝昼晩三食と2回のおやつである。1日5食の食習慣は間違っている。「沢山食わせて、早死にさせろ」と言うのが日本の介護行政なのである。