(17)サンダース現象から見えてくる大きな戦争
ヒラリーが大統領になったら、アメリカは必ず戦争を始める。このことを下層白人の女たちが心配している。ヒラリーなら戦争を起こしかねない。そうなったら、自分の息子が戦争に駆り出される。このことを民主党支持のリベラルな女性たちは本気で心配している。
バーニー・サンダース候補の演説には、必ず貧乏な白人労働者家庭の女たちがいて、熱心にサンダースを応援している。自分たちの息子が兵隊にされて戦場に連れて行かれるのが怖い。だからヒラリーに投票したくない。社会主義者のサンダースを応援しているのである。ヒラリーが大統領になったら、徴兵制で自分の息子や恋人が軍隊に引っ張られる。この感覚は日本人の「平和で当たり前」の感覚からはわからない。アメリカはずっと戦争をしてきたのだ。戦争が公共事業なのだ。
アメリカは、ニクソン政権のベトナム戦争の和平協定締結時に、1973年に徴兵令は廃止されたことになっている。だが、これは決して廃止ではなく、法律が停止しているだけである。今は志願制度の兵隊義務になっている。そして「セレクティブ・サービス」と言う徴兵令一歩手前の制度がある。これは徴兵検査である。18歳で必ずアメリカ国民の男子は受けさせられる。自分の住む市に「リクルーティング・ステイション」があって、そこに出頭させられる。そして1F、2Fの判定を受けたら、身体障害とされ、兵役免除となる。このほかに、1A、2Aの判定を受けたら、「学力があるとして」大学進学などで、兵役の延期が認められる。ところが、B、Cの判定を受けた青年たちは、軍隊に行かざるを得なくなるようになっている。このアメリカの真実を誰も日本に書いて伝えようとしない。B、Cの判定とは、「成績不良」「学力不足」そして「素行不良」の判定である。このB、Cの若者たちは、軍隊に入るしか、実際上、職はない。このようにアメリカの厳しい現実がある。
だから、2004年のジョージ・ブッシュ大統領再選の時に挑戦したジョン・ケリーが選挙演説で「しっかり勉強しないと軍隊に行くことになるぞ」と言って大騒ぎになった。下層白人たちにとって、息子や恋人が戦争に連れられて行かれる。そして戦場でラビット(うさぎ)と呼ばれて、新兵のまま死んでしまう可能性がある。このことを日本人は知るべきである。(戦前の日本は赤紙が来て有無を言わさず兵隊にされていた)
軍隊に行くだけならまだいい。ROTCと言って、名前だけは将校だが、実際には、授業料免除で大学生をやりながら、毎週末、兵隊訓練を受ける若者たちがいる。彼らは戦争が始まったら、そのまま召集されて戦場に連れて行かれる。今のアメリカは、この停止している徴兵令を明らかに復活、再生させようとしている。有事が始まったら、必ず戦争になる。このように「セレクティブ・サービス」(兵役選別)と言う名の徴兵検査が厳に今も行われている。このことがアメリカ大統領選挙の裏側に貼り付いている真実である。
トランプならどうするか? トランプなら、全てを交渉で解決する原理で動く。しかし交渉では済まないとなったら、トランプは小さな戦争なら実行するだろう。ちなみにトランプ自身がベトナム戦争の徴兵逃れをしたのではないかと言われている。