(11)トランプ大統領で日本はどうなるのか?
トランプは「駐留米軍の撤退と日本の核保有を容認する」と主張している。
トランプは、「日本が駐留経費の負担を大幅に増額しなければ、在日米軍を撤退させる」と言う考えを明らかにした。日本による核兵器の保有を容認する意向も示した。米軍撤退の可能性にまで言及したのは初めてである。「米国には巨額の資金を日本の防衛に費やす余裕はもうない」とも述べ、撤退の背景として米国の財政力衰退を挙げた。
米軍は、そろそろ日本から撤退すべきである。戦後71年にもなるのに、外国の軍隊が長く居座っていることがおかしいからである。副島氏は米軍は日本駐留から去ればいいと考えている。ところが、日本国内の大方から、「日本が米軍に守ってもらわないといけない。北朝鮮と中国とロシアから攻められる危険性が常にある」と主張する人が多くいる。副島氏はこの考え方を理解できるが同調はしない。自分の国は自分たちで守るべきだからである。
トランプは、「日韓両国が、北朝鮮などから自国を防衛するために、核武装もありうる」と述べ、「両国の核兵器保有を否定しない」と言う見解を述べた。トランプ発言に一番驚いているのは、日本政府の国防官僚達である。日本の安全利権に長年とりついて利益に預かってきた者達にとって、トランプ発言は自分たちへの脅威なのである。
ジャパン・ハンドラーズの頭目はリチャード・アーミテージであるが、彼は「ヒラリーに投票する」とまで公言した。本来なら、共和党本部はアーミテージを党から除名しなければいけない。マイケル・グリーンは、当初、トランプを批判していたが、自分が生き残るために急に態度を変えてトランプ支援に回った。「私はヒラリーに入れる」と決定的なことを言ってしまったアーミテージはもう逃げられない。居直りの態度に変わった。日本メディアは、週刊誌を含めて、「トランプが日米関係を壊す」とか、「トランプの日本への悪影響」一点張りで書いてきた。当然、ヒラリーが勝つと思い込んでの余裕の論評であった。ところが、トランプ有利になり、日本の体制はメディアは慌てかつ怯え始めている。
トランプは、「日米安保条約は片務条約であるからおかしい。双務条約にせよ」と言い続けている。この考え方はアメリカ国民の多数の考えである。別の表現が「日本は安保にタダ乗りしている論」である。トランプは日本政府に対して、日本が思いやり予算と称して駐留米軍に国家予算から払っている年額6000億円ではなく、その3倍の1兆8000億円を払え、と考えている。その再交渉をやり、日米安保の改定と地位協定も改定すると言っているのである。
果たしてトランプのこの主張は妥当なのか? 安倍政権派2015年に「安保法制」を成立させた。憲法解釈を捻じ曲げて集団的自衛権の行使を明文化した。この「集団的自衛権」と言うのは、国連憲章51条に1行書いてあるだけのものである。ヨーロッパのNATOのようなものである。この言葉を安倍政権が勝手に使って振り回していることに、安倍政権を操っているアーミテージでさえ鼻で笑っている。「おまえら程度でアメリカと対等に軍事行動を集団的に行うなんて馬鹿なことを考えるな。だが、集団的自衛権という言葉を使いたいなら勝手に使うがいい」と言っている。日本はアメリカ側が対等になれ(双務契約)と要求していることに対して、この集団的自衛権の理屈で双務的になろうと虚勢を張っているのである。
アジア諸国の人々は一応、形だけはアメリカと対等な関係になっている。だが、実情はそうではない。アメリカ人から見れば、日本や韓国、フィリピン、タイ、マレーシアは共産主義に対するアメリカにとっての防波堤でしかない。それが実は幻の集団的自衛権なのである。