(13)山口敏太郎の敵とは?
山口「戦略的に漠然と敵がわかってきました。僕が睨んでいるのは今、某社が間違いなく敵です。」
飛鳥「本出したじゃん。」
山口「出してないです。1冊だけですよ。連載1本だけやってた。あそこは油断ならないですよ。企画の盗用が多いので。元々、僕が作ったオカルト誌の企画書を〇〇社が潰れる前に持っていったんですよ。でも、その後、〇〇社にいたフリー編集者を引き抜いて、その規格を某社が立ち上げたんですよ。あれは僕の立案なんですよね。」
飛鳥「企画を盗用されたということか。」
山口「それだけじゃないんです。泣ける怪談やりましょうって、18年前に言って企画書出したら。」
飛鳥「お涙ちょうだいの怪談ってこと。」
山口「ええ。それは僕の提案だったのに。Nさんの名前で出ました。完全な企画泥棒の出版社ですよ。」
飛鳥「今、Nさんの息子たちが某社で働いているよ。「M」編集部で。」
山口「それ知っています。」
飛鳥「送り込んだんだ。」
山口「電通関係に芸能人の2世が入るのと同じパターンです。だから結構、怪談の企画もイベント企画も、そっくりなやつがスタートしてるし、僕がやっているイベントとそっくりなスキームでやられたので、某社は信頼できないなと思っていて。あと「M」も、僕は敵国だと思っていますけどね。」
飛鳥「敏ちゃんはまだ、M編集長との手打ちは嫌という考え方なの?」
山口「じわじわ自分の首が絞められているということを自覚しなきゃダメですよね。サラリーマンの癖に無頼の作家気取りのMが気に入らないんです。このままでは「M」は崩壊しますよ。多分維持できない。」
飛鳥「今、M編集長は第5代かな、最長不倒距離なんですよ。一番長いかな。今、S君が副編で、普通、会社でもそうなんだけど、下から上がってきますよね。今度はS君が編集長の時代が来るわけですよ。そうすると、先々「M」で山口敏太郎が書く時代と言うのが、遅かれ早かれ来るかもしれない。」
山口「でも、僕は書かないです。ミュージシャンの松山千春がダメになったのはベストテンに出るようになってからです。」
飛鳥「そう来るか。絶対出ないって言っていたのに、千春は出たんだよな。」
山口「当時の松山千春はとんがってて価値があったんですよ。丸くなって出ちゃうようになるとダメなんですよ。」
飛鳥「オカルト雑誌ね、「M」だけしか今ないじゃないですか。徳間書店にお主を紹介して、アトランティスと言うのを作ろうとしたんだけど。」
山口「アトランティア。」
飛鳥「アトランティアか。あれも徳間の営業がミスしちゃったってことではなくなったよね。要は、今はまだ一党独裁体制、今の自民党みたいなもんなんだな。僕、今度は飛鳥堂出版で、飛鳥流のオカルト雑誌を出すんだよ。「ASKAマガジン」というタイトルだけど、これは今のところアマゾンでしか発売しないが、書店で並べたいところがあれば、取次を通さず直接発送する予定でいる。出版コードもすべて持っているけど、古い流通システムに魅力を感じないし、今の出版不況のスパイラルに巻き込まれるのも真っ平だからね。それにしても「M」も対抗誌というのはずいぶん消えたね。」
山口「そうですね。同じスタイルでやったって勝負にならないですよ。新しいスタイルで攻撃しなきゃダメです。でも「M」を攻略する方法はあります。イメージトレーニングで「M」城が落ちるイメージがあるんですけど。」
飛鳥「すげえな。僕はその「M」と言う城から脱出しようとしているわけか。これはいつか落城すると。」
山口「飛鳥先生が僕をたきつけて、「M」と戦わせているんです。僕ら海援隊をたきつける勝海舟ですから、幕府の人間なのに、幕府を潰そうとしている人達ですから。」
飛鳥「一番悪だね。」