(15)高次元の哲学
五島氏の高次元の哲学では、次の通りになっている。
3次元は、知識、情報と関係がある。4次元は、経験と関係がある。5次元はエネルギーであり、信念、信じる力と関係がある。6次元はどちらへ行くかという方向性である。7次元は育成と関係がある。8次元は包容力と関係がある。9次元は創造力と関係がある。(ただし、五島氏の「神の望み」では7次元が包容力、8次元が育成となっている。この発想はトップダウンの考え方であり、神の立場から降ろされた考えである。)
知識よりも経験が上回り、経験よりも信念の方が上回る。いくら経験があっても、失敗するだろうという信念を持っていたら、失敗の確率は上がる。信念の方が強くて上であるということは、高次元哲学からも言うことができる。(五島氏)
抗がん剤の開発は、そもそも善悪の基準がないことが問題である。免疫チェックポイント阻害療法も、NK細胞が持っている抗体に何か特殊なものをつけて強力にするのだが、免疫細胞を強力にすると、正常細胞までやっつけてしまう方向に行くことである。善悪が分かっていないということ、未熟な細胞があるということで、NK細胞をどうやって育てるのかが大きなテーマになっている。NK細胞を育てようという場合、7次元の育成というコンセプトで一体どうやったら育つのか? 抗がん剤に対しても、高次元の発想があれば、もっと違う発想が出て来るのではないかと思われる。(五島氏)
NK細胞は何が癌であるかを一瞬で見抜く。例えて言うと、勝新太郎演じる座頭市のようなもので、細胞の表面の手触り感で癌細胞を察知し、居合切りのようにやっつける。このNK細胞を人工的に再現するのは、まだ難しい領域である。
2019年以降、人工知能が普及して、20年以内に過半数の仕事がロボットに置きかわると言われているが、NK細胞の再現はまだ無理のようである。
善悪の基準がはっきりしていないNK細胞について、高次元の能力を高める必要がある。例えば、癌で生還した人は、確かに様々な健康法を試みている。そういう人たちは信念が強い人たちである。また自分はこっちの方向に行くのだという方向性、未来に対しての明るい物差しを持っている。
それから育成である。チャーチルも「人生において最も大事なことは、決してあきらめないことである」と言っているが、そんな風に自分に言い聞かせる。そして、NK細胞を育てるには、毎日の小さな習慣だろうと思う。
今から必要なのは、その人の小さな習慣と、その人の体内のNK細胞がどういう関係があるか、精神的にも目を向けることだろうと思う。残念ながら西洋医学では自己治癒能力を認めていない。それゆえ、どんどん悪くなっていくか、現状維持がやっとである。生命は医者の想像をはるかに超えている。
それから包容である。善悪をはっきりさせようという立場と、そもそも二元論が誤っているのではないかと考える立場がある。善悪をはっきりさせようとすれば、最後は戦争になる。それゆえ、我が国にとって必要なことは、善悪を超えていくこと、つまりすべてを味方につけるという発想である。
現生人類は十万年前にアフリカで発生した。ミトコンドリア・イブが発生した時期も、世界の歴史も出るから13万4400年ぐらい前ではないかと計算されている。十数万年前にアフリカで発生した現生人類は、自然環境の激変に伴ってヨーロッパへ移動せざるを得なかった。・・・わが日本民族は、4万年という歴史を旅してきて、今から4万年ほど前に日本にたどり着き、石器時代から始まって縄文時代を築いた。古文書が示すカタカムナやホツマツタエは多分4万年ぐらい昔まで遡れる。
合気道は、相手と組んだ時に戦うのではなく、それとは全然違う、相手の気と和する方向に進んでいく道である。包容は日本人の最も優れた能力ではないか。そのうえで自分が生き残る創造の道、自分を信じ、自分の中から搾り出して作っていく道があるのではないかと思われる。
私たちは、西側先進国とか、東側とか、横軸方向の東西問題に気を取られている。これから必要なことは南北方向を味方につけることではないかと思われる。南の方向、東南アジアでも南方には結構親日国があるから、そういったところも包容していくという発想が必要だと思っている。(五島氏)
*五島氏に高次元の発想はトップダウンによるものである。それゆえ、3次元から9次元までの意識を述べている。私は数霊次元説を唱えているが、ボトムアップ方式で積み上げてきた考え方である。私が次元に興味を示したのは高橋信次先生の影響である。高橋先生の本を熟読して次元意識としてまとめたものである。それゆえ、1次元から9次元まで示した。光の部分だけを言うと、次のようになる。1次元→真(智慧)、2次元→善、3次元→美、4次元→調和(持続)、5次元→勇気(正義)、6次元→仁徳、7次元→愛、8次元→慈悲、9次元→信(愛と慈悲を総合した信)である。それで0次元を神とした。0次元の所で、創造性が出て来る。またベートーベンの交響曲も1番から9番まであることに着目し、音楽の意識と次元の意識が一致していることも確かめている。