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核分裂を阻止する「統一場理論」の話(13)

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(13)時間と人間の幸福

 3次元の上には4次元と言う時間軸がある。五島氏の統一場理論は時間を基にして論じている。

 時間についてのイメージとしてヨギの言葉がある。それは「過去を持たない聖者はいない。未来を持たない悪人はいない」という言葉である。

 これは、過去を振り返ると、栄光に満ちていれば、人を傲慢にし、敗北に満ちていれば人を劣等感に落とし込むけれど、過去に栄光があろうと、失敗があろうと、常に目を未来に向けなければいけないという発想である。

 東洋の哲学には、時間の捉え方が2種類ある。例えば、インドのヒンズー教の時間論は、現代物理学と同じで、過去から未来に向かって、あるいは現時点から未来に向かって時間が一直線に走っているという発想である。この発想だけを基に生きていくと、とにかく足の速いものが勝つという競争社会を招いてしまう。とにかく人よりも先に行けという発想が生まれ、世界観も、自分が他人に対してスピードが速いか遅いかという自分中心なものになる。

 ところが、ヒマラヤを超えてチベットに行くと、違う時間が流れている。チベット人の考える時間論は、自分は今ここにいて、明るい未来が自分に向かって流れてきている。あくせく努力しなくても幸運は向こうからやってくるという非常に面白い発想である。

 大事なことは、どの場面に心を合わせるかである。幸福な未来に心を合わせるか、不幸な未来に心を合わせるかによって、送られてくる番組が違う。画面選択論と言うか、テレビのチャンネルをどこに合わせるかによって未来が変わってくるというのがチベット人的な発想である。

 東洋の哲学では、向こうからやってくるのと、こっちから出かけていくのと、2種類の時間の捉え方がある。これはどちらが正しいのではなく自分が仕掛けていくことも、しばらく向こうの出方を待つことも、両方が必要である。

 あたかも引き寄せと願望実現がセットになっていて、この相反する2つのものが人間の幸福を作る。この2極性、2つの考え方が時間の中にはあるということである。

 物事を掘り下げていくと、表があれば必ず裏がある。表と裏、光と影、善と悪、メリットとデメリットなど必ず2元的なものの見方がある。

 私たちがこの世の肉体に宿って輪廻転生していくのは、物事を色々な角度から見るためだろうと思われる。影が悪いということではなく、影からも学ぶことができる。そのために私たちは生まれてくるのだろう。3次元、4次元までは2次元的なものの見方が通用し、それができる人が賢者と呼ばれる。ビジネスで成功する人は、プランを練るときは楽観的に考え、実際に実行るときは悲観的に実行するはずである。2元的な物の見方ができる人が勝利者になり、2元論だけで行くと、勝者がいれば、敗者がいる。とにかく2元論の世界ではナンバーワンでなければ意味がない。しかし、今日のようにインターネットが普及して地球環境が驚くほど狭くなると、2元論に徐々にほころびが出て来る。 

 例えば、アメリカは世界の警察国家としていつまでもナンバーワンの座に留まれるか?

 オバマ大統領の時代までは、中国の動向について、楽観的に見ていた。ところが、トランプ大統領になって、急激に変化する。中国は資本主義と言いながら実は独裁性があるということで、アメリカと中国の間で貿易戦争が起きている。

 アメリカは中国から電子部品を輸入している。この輸入に対してアメリカは高い関税を課そうとしている。それに対抗して、中国はアメリカから輸入している食料品に対して同額の関税をかけようとしている。互いに関税をかけあうと、中国では一般大衆が食料品を買うのに非常に困難を感じ、食がひっ迫する事態になっていく。アメリカでも、電子部品の供給ができなくなり、いろいろ困った事態が起きてくる。

 結局、アメリカと中国の貿易戦争に勝者はいない。 どちらも敗者になる可能性が大である。2018年の混沌とした世界情勢は、「戦争しても勝利者はいない」ということを示唆している。

 それは政治の世界だけではなく抗がん剤の開発もそうである。ここに癌細胞がいて、こちらに免疫細胞の中でも癌に対する殺傷能力が高いNK(ナチュラルキラー)細胞、こちらに正常細胞がいると、NK細胞はがん細胞だけを狙い撃ちしてやっつける。

 ところが、抗癌剤はおおむね癌細胞の分裂を阻止するという発想で、金属や化学合成物質(アルキル化薬、白金化合物、代謝拮抗薬など)を投与する。これで癌細胞が分裂できなくなると、成長の止まった大人なら有効かもしれないが、成長期にある子供は、正常な細胞も分裂しているので、正常な細胞までやられてしまう。増殖を止めるタイプの癌抑制剤は、敵と味方、善と悪を判別しない。2元論が通用しないという困った問題を引き起こしている

 ここで医者は考える。癌細胞特有の指標となる物が細胞の表面にあれば、それを狙い撃ちして癌だけをやっつけられないかと考える。オバマ大統領が一般教書演説の中で言及した光免疫療法はそうした指標を目印にそこへ炭素を大量に含んだものを持っていき、後で近赤外線を照射して癌細胞を爆発させるという発想である。ところが、残念ながら現在に至るまでそうした指標は発見されていない。


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