(9)トランプ大統領は旧支配者側に取り込まれた?
⑧アメリカは既に内戦状態
金融異変の動きは、「米政府機関の一部閉鎖」となって噴出している。周知のとおり、アメリカは2018年12月から2019年2月まで政府機関が一部閉鎖になった。表向きの理由は、2月上旬までのつなぎ予算で「メキシコとの国境の壁建設費用を計上するか否かでトランプ大統領と議会が対立した」とされてきた。これは大嘘である。なぜなら、「壁建設のための予算」の拠出自体は、すでに議会で可決されているからである。では何が問題だったのか?
そのヒントとなるのが今回の「米政府機関の一部閉鎖」に際して政府職員の給料は差し止められているが、軍人らの給料はきちんと支払われている。この状況下でトランプ政権の軍人幹部らがそろって辞任していることに注目すべきである。
ここで興味深いニュースが飛び込んできた。ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス社(元ロシア連邦宇宙局)のトップ、ドミトリー・ロゴジンCEOの発言である。彼は2019年2月、アメリカNASAへの招待が中止になった理由について、「第2次アメリカ内戦が進行中の為」と述べたのである。勿論、表向きには招待中止の背景には「訪問先であったNASAの予算が米政府機関の一部閉鎖により止まっている」という経済的事情を語っている。
これから推察していけば、アメリカ政府機関の一部閉鎖は、内戦が原因であり、それによってアメリカ国内にかなりの混乱が巻き起こっている。そこで「現在、80万人を超える政府職員の給料が差し止められているのに、軍人らの給料はきちんと支払われている」という点を加えると、アメリカ国内の秩序、治安が極限まで乱れた場合、時期を見て公に軍事政権を発表するというプランがあったことがわかる。
軍事政権と言うのは治安がかなり悪化してからでないと、市民からの支持は得られない。アメリカの刑務所職員の多くが給料の支払いが止まっているため、病気を理由に職場を休んでいたという。この状況が続けば、囚人たちが大量脱獄しても不思議ではない。加えて、政府機関の閉鎖に伴い、フードスタンプ(低所得者世帯に食料品購入のための費用を支給する食糧援助プログラム)で生活している4400万人ものアメリカ人が食糧配給を受けられなくなることも考えられた。
そうなれば当然、大規模な食糧暴動が発生し、これに脱獄囚たちによる略奪も加わる。対処するには軍を投入するしかない。軍には給料が出ているため、スムーズに動ける。ある意味、アメリカ軍は内戦に勝つために、こうした最終手段までオプションにしていたことがわかる。
ただし、アメリカ軍は一枚岩ではない。事実、2019年に入ってから「トランプ政権の軍人幹部らがそろって辞任している」こと、またポンペイオ国務長官がベネゼエラ問題の責任者としてシオニストである過激派エリオット・エイブラムスを特使に指名すると発表した」ことを鑑みれば、その裏では石油ドル体制を支配してきた旧体制勢の存在も浮かんでくる。つまり、軍による治安出動が裏目に出る懸念も強かったのだ。こうした軍内部での主導権争いと凄まじい駆け引きが未だに続いているのがアメリカの実情である。
⑨アメリカ解体はもはや不可避
トランプ大統領を後押ししてきた軍事政権は、トランプが語る「ディープ・ステイト」(闇の支配者)をバージしようとしてきた。しかし、それが十全にできたとは言えない。アメリカはいったん解体するまで放置、その後、再生する方が確実ではないかという考え方が強まっている。そうなれば大混乱になる。しかし、その過程を経なければ新たな国際金融システムを発動することはできない。それほど「石油ドル本位制」の利権は巨大であり、強固なものなのだ。トランプ大統領も当初は、財務省発行紙幣に強い意欲を示していたが、それが難しいとなった途端、「石油ドル体制」での利権確保に走っている。闇の支配者のFRBの株主たちは追い出すが、引き続きアメリカの管理下に置いてアメリカの為の利益にしようとしている。結果、目先の利益に踊らされて、闇の支配者(旧体制)に利用されている。加えて軍事政権も金食い虫の軍をベースにしているだけに、金に関しては決して正義とは言えない部分も強い。それゆえ、国際社会の目は厳しく「アメリカは解体すべき」となっているのだ。
ワシントンD・Cの全ての旧体制勢の失脚が加速するだろう。そのバージが終わってようやくアメリカの再起動へとステージは移る。ところがここにきて、トランプ大統領が旧支配者側に取り込まれたことが鮮明になった。そうなれば、トランプ政権を支持してきた軍との争いも強まる。一そうの混乱が予想されるのが2019年3月以降の情勢なのである。