(32)「瞑想」と「長息」は一体行である
闇の支配者が誤魔化してきた医学や栄養学も、崩壊している。その世界的な背景が理解できたと思う。こうして、世界の目覚めた人たちは、虚妄の医学、栄養学から、古代ヨガの叡智に回帰している。
ヨガは一言で言えば、実践哲学であり、実践医学でもある。実行しなければ意味がない。そのヨガの修行の基本が、「瞑想」(メディテーション)と「長息」(ロングブレス)である。いずれも、基本的な波動療法である。
「瞑想」は「長息」によって可能になる。気ぜわしい呼吸で行うのでは、瞑想にならない。両者は最もベーシックなのである。様々な「波動療法」を行うときは、必ず「瞑想」と「長息」を伴うようにする。
「瞑想」は興奮した神経を鎮める。いわば自律神経の働きをシフトする。交感神経の緊張から副交感神経の弛緩に移す。さらに「長息」は「瞑想」効果を高める。「瞑想」により興奮、緊張した自律神経の波形は、緩やかで、穏やかな波形に代わっていく。それがはっきり表れるのが、脳波である。睡眠時のθ(シータ)波は4~8ヘルツ、瞑想時のα波は8~14ヘルツ、緊張時のβ波は14~38ヘルツである。このように「瞑想」は脳の緊張を和らげる。それは脳波の周波数が少なく緩やかになり、β波からα波のゆったりした波形になることで確認できる。
呼吸法も同様に波動療法の一種である。呼吸は一種の生理リズムを刻んでいる。呼吸が早まると緊張も高まり、交感神経優位にシフトする。肺は身体で唯一、自律神経を抑えて、自らの意志で調整できる器官である。だから、意識的に呼吸の回数をゆったり少なくすると、交感神経から副交感神経のリラックス状態に移行することが可能になる。
よくスポーツの試合で、監督が選手に「深呼吸しろ」と指導している。これこそ、まさに「長息法」である。ヨガに興味深い教えがある。
「一生の間に、食べる食物の量は決まっている」「一生の間に、吸う空気の量は決まっている」
だから、古来から東洋思想では「少食長寿」「長息長命」と戒めているのである。
ペンタゴン(米国防総省)が、ヨガを訓練に正式採用している。世界最強の軍隊が注目したのが「呼吸法」と「瞑想法」である。その詳細が「ペンタゴン式ハードワークでも折れない心の作り方」(ガイゾン・コーテ著)に書かれている。
コーテ氏は米軍部エリート官僚であり、精神訓練にヨガ導入を働きかけた人物である。ペンタゴンは傘下の軍人、職員あわせて320万人もの巨大組織であり、その訓練にヨガ行法を正式にカリキュラムとして採用している。コーテ氏はペンタゴンがヨガを採用した理由を力説する。
「どんな困難にでも立ち向かえる強い意志力、精神力を鍛えるには、心身両面のトレーニングが必要である。心を鍛えなければ人は正常に機能しない。それを我々は誰よりも知っている。戦場に送られ、増えていく精神不調和者、深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる兵士たち。瞑想はそうした問題を緩和するのに成果を上げている」
コーテ氏が最初に「瞑想」を提案したときは、ペンタゴン内部から反発や惑いがあった。しかし、最初抵抗した兵士たちも、その予想以上の効果に驚いている。ペンタゴンが兵士の訓練と精神のケアにヨガの「瞑想」を導入した背景には、現代医療への不信がある。PTSDなど精神障害を患った兵士に、軍部は最初、現代医学に基づく薬物療法で対処したが、症状は悪化の一途をたどるばかりであった。さらには、PTSDに陥った兵士による銃の乱射や自殺など異常行動の多発に、軍当局は頭を悩ませていた。
従来の西洋医学により科学薬剤を投与するやり方は全く無効だった。それどころか深刻な副作用、薬物依存、暴力衝動など、二次的、三次的な社会問題が劇発したのである。それゆえ、軍当局は、ヨガの「呼吸法」導入に踏み切ったのである。
ヨガ呼吸法で基本的なものは、「吸う息」「吐く息」に意識を集中させるトレーニングである。「吸って、吐いて」という、ゆっくりした呼吸のリズムにだけ集中していくと、結果的に思考がしっかりと休まっていく。一日5分でよいという。
このブレス・トレーニングを米軍は毎日兵士たちに義務付けている。それが習慣化することで以下12項目の驚くべき効果を兵士たちは実感している。
①恐れや不安の軽減 ②記憶力の強化 ③免疫力の強化 ④集中力強化 ⑤うつ病の改善 ⑥血圧の安定 ⑦心疾患予防 ⑧血糖値の安定 ⑨適正な食欲の維持 ⑩安定した睡眠 ⑪外傷など痛みコントロール ⑫第3者への共感力強化。
ペンタゴンと同じようにNASA(米航空宇宙局)も、訓練にヨガ呼吸法を採用している。宇宙飛行士やパイロットの訓練に最適というが、コクピットや宇宙空間ではパニックなどの精神的錯乱を起こせば命取りになる。ユガの呼吸法を実践することでどんな状況に遭遇しても沈着冷静な対応ができるようになる。従来の薬物療法では絶対に不可能な精神能力の向上である。