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波動医学の最新情報(28)

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(28)石器時代から珍重された鳴り響く石

 何か、資料を…というと、内田会長はざら紙1枚を手渡してくれた。そこにはB5判1枚に質素な「説明」が綴られていた。見出しは、「石の音の再生に寄せてーカンカン石」。地元ではカンカン石と呼んできたのである。一読すると、この天然石の「石の楽器」の由来が詳細に書かれていた。一部を引用する。

「木槌で叩くと、美しい金属音の響きがすることから、讃岐の人たちは、古くからカンカン石と呼んでい、親しんできました。古くは宝歴時代(1760年代年頃)に、音の出る珍しい石として知られていた、と「三崎史」に記されています。それによれば、小網代の白髪明神に鐘のように美しい音を出す石があり、四国から来た舟が、航海安全のお札に献じた、という。さらに、安永年間に出版された「雲根史」にも、美しい音を出す讃岐の石として紹介されるなど、歴史書にも多くの記載例があります。」

 なるほど、古文書にも記録されるほど、他に例がない珍しい石であることが、よくわかる。単なる「アンザン岩」ではない、何かがありそうである。

 「サヌカイト」は「讃岐岩」とも言われ、ガラス質の古銅輝石安山岩。今から1350万年前、西南日本・中央構造線の北側に噴出した溶岩が、今のサヌカイト層となり、香川県坂出市金山、国分台付近に分布する、世界でも珍しい岩石である。

 この石は、明治7年、開校間もない東京大学の招きで来日した、ドイツの地質学者ナウマン博士が発見採取し、ミュンヘン大学に持ち帰り、明治24年(1891年)、ワインシェンク博士によって、この特異な安山岩を「サヌカイト」と命名し、学会に発表した。

 「サヌカイト」は石器時代の遺跡からも出土している。それはガラス質であるため、その鋭利な特性が、石刀、矢じり、石斧などに使われた。人類が日本列島に移り住んだ太古から、この石は狩猟や身を守る武器として、古代人の生活に深く関わってきた。また、一方で、古代人も、時には美しい響きを持つこの石を打ち鳴らし、リズムを楽しんだり、情報伝達の手段に使っていた。人が銅を造り、鉄を使い始めてから、石器はだんだんと生活の中から遠ざかり、「サヌカイト」も、忘れられた存在になっていった。

 船瀬氏は、この古来稀な珍石を、楽器に使用することを発案した人物に興味がわいてきたという。この資料の文章を綴った人こそが、発案者に違いないと思い、調べたが、前田仁(2008年没)とある。彼の研究は、金山産「サヌカイト」の振動特性についてである。

「人の耳で聴きとることのできない、いわゆる非可聴域の高周波音など、50万ヘルツを超える成分があります」(前田氏)

 神秘の石の神が舞い降りたような調べは、まさにこの50万ヘルツ超にあるのかもしれない。その波動の気のエネルギーは、耳に聞こえなくても、魂を振るわせるからである。

「高周波域の音響効果は、少量であっても脳の活性化と集中力を増す」(A・トマティス博士)

 耳に聞こえぬ音こそ、実は、その波動エネルギーで脳を活性化する。これは「オルゴール療法」の時に述べたとおりである。最近、CDの売り上げが急減している。そして皮肉なことにLPレコードの売り上げが急増している。CD開発者は、非可聴域の20ヘルツ以下と2万ヘルツ以上の音をカットした。「どうせ人間の耳には聞こえないから」と言うのがその理由である。「我々は音を聴くのは耳だけではなく、全身で聴いている」という事実に無知だったからである。

「音の成分が人の心を癒したり、植物に音楽を聴かせたり、酒やワインの醸造に音楽を利用するなど、近年、音が生物に反応する効果を求める人たちは、世界中に膨らんでいます」(前田氏)

 前田氏は、驚くべき事実も明らかにしている。

「古代中国で、石の楽器「磐」が作られました。宮・商・角・徴・羽・・・の5音から7音、さらに、周代、景王と音官、怜州鳩(BC522年)の問答の中に、12律の音名が「周語」に収められています。今日の音階の原型が、2500年前に成立していたのです。12音が六律六呂に区分され、黄鐘・大呂を軸とした陰陽の音律が明記されています。古代人が音に寄せた思いです」(前田氏)

音階の発見は、西洋音楽より、はるか古代と言える。医学と同じように音楽も、太古から東洋がはるかに進んでいた証しと言えるだろう。医学同様、音楽も東洋に回帰するときだと確信する。

 最後に、10年以上前に世を去った前田氏のメッセージに耳を傾けてみる。

「幼児の眠りを誘う、優しい音、祭り太鼓や鐘、強烈なリズムで若い人を乱舞させる音、古里や、子供の頃の懐かしさを思い浮かべる曲、賛美歌、声明・詠歌、祈りの中に慈悲と愛を呼び起こす音など、音の持つ不思議な力に驚かされています」

「中国の古い遊印・紋章の類を収集される方から、明時代の銅印です、と言って、麗しい石の音に、この印を使ってください、と、いただきました。そこで風鈴のような「玲」(透き通るような美しい石音)を作ることにしました。(中略) 8372ヘルツの高音域を使ってみよう! このクラス、「基音」の石であれば、50万ヘルツの超音波が含まれるから、脳の活性化、ボケ防止、の役に立つのかなあと、こんな願いを込めた、風鈴ができました」

 手記「あとがき」に次の文章が添えられていた。「サヌカイト」楽器を購入した方への「注意書き」だった。

「金山は、空海・崇徳上皇などと深い関わりがあり、命の水がわく泉の傍らの石です。今回、限定で販売し、売り上げは全額、香川県資源研究者のサヌカイト研究費とさせていただきます。また、石と紐を接着剤止めており、稀にぶつかり合って割れることや、落下することがあります。サヌカイトの音をお楽しみいただけるよう、余り頻繁に鳴らない場合に吊っていただけたら、幸いです。感謝 (株)興仁 前田宗一」

 「サヌカイト」は明らかに音響療法(サウンド・ヒーリング)として、想像を絶するほどの治療効果があることは間違いない。このような奇跡の楽器を開発された方には、感謝の言葉しかありません。(船瀬氏)


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