(25)「シンキング・ボウル」 心が落ち着き病を癒す
「シンキング・ボウル」が静かなブームである。ルーツは、チベタン・ボウルであり、チベット密教の法具として古くから使われてきた。いわゆる音響楽器として販売されている。しかし、単なる楽器ではないことは、言うまでもない。
因みにチベット仏教では、瞑想や祈りなどの修行の場に、様々な音響法具を取り入れていた。「ティンシャ」もその一つである。ヒマラヤの寺院では、場の浄化や瞑想から覚めるる際に使われている。両手に一つずつぶら下げて鳴らすか、片方をぶら下げ、もう片方を直接持ち、それをぶつけて鳴らす。鳴らすと、実に澄切った高音が立ち込め、心に染み入る。疲れた時にならすと、本当に嘘のように疲れが消えていくという。
チベタン・ボウルも、僧侶たちが修行や祈りの時に鳴らして、場や魂を清めるのである。ストレスまみれの現代人には、これらチベット密教の聖者たちが心身を正常にした法具が必要であると思える。
まずは、論より証拠。体感すると誰もがビックリするだろう。体中に癒しの音色が染み入る体験は、テレビやCDからの音楽では絶対に味わえない。この「シンキング・ボウル」は実に奇妙な楽器というしかない。何も知らなければ、ただの真鍮製の大きめのお椀である。ところが、心棒でその周囲をこすっていると、実に深遠な音を奏で始める。その音は、天空から聞こえて来るのかと思えるほどである。まさに、この世のものとは思えない響きである。さらに、バチで叩くと、なんとも言えない音色で魅了する。チベット仏教の寺院では、修行僧たちが、瞑想に入るときなどに鳴らして、心身を静めているのである。
瞑想に入るときに鳴らされるチベタン・ボウルなら、精神安定効果があることは誰でもわかる。実際にその調べを聴くと不思議なくらい心身が満たされ、安らぎ、落ち着く。これは他の音楽では全く得られない身体感覚である。なぜ、チベタン・ボウルが急にブームになっているのだろうか?
それは音楽では得られない癒し効果があるからである。さらに、深い瞑想にいざなってくれるからである。瞑想は、心身の理想の調和をもたらす。日常のストレスに疲れた現代人に相応しい癒しのグッズと言える。「シンキング・ボウル」の癒しの音を受け止めるには、準備と心構えが必要だという。本来は瞑想と祈りの為の宗教法具である。それなりの厳かで静かな瞑想が必要となる。ガムを噛んだりしながら、聴くようなものではない。
(1)縁をこすると深い響きがでる。
①座禅を組む→静かな空間で胡坐をかき、座禅を組む。おしりを閉め、背筋を伸ばし、腹式呼吸でゆっくり息を吐く。これを繰り返し、気持ちを落ち着かせる。
②ボウルを鳴らす→左手の上に乗せる。心棒でボウルの外側の縁に沿って、押し付けるようにしながらゆっくり回す。力を抜いて回し続けると、実に心地よい音が立ち上がる。誰もが心身の癒しを感じるはずである。
それは、ボウルの内側に音が反響して、豊かな倍音が響きあがるからである。倍音の生理的・心理的な効果は、これまで何度となく述べてきた。心棒を回す強さや速度を加減すると、変化にとんだ音色を楽しむことができる。CDや電子音などでは不可能な倍音が、ボウルから立ち上がり、室内を満たす。実に落ち着く。心が安らぐ。これは聴いた人全員がそう感じる。万病が癒されることも、間違いない。
③ボウルを叩く→お寺の鐘の音に似た奥行きのある響きである。市販「シンキング・ボウル」には①ストレス解消、②創造性活性化、③リラックス効果があると言われている。疲れた時など、「シンキング・ボウル」を奏でると、疲れが取れるのを実感するという。つまり、副交感神経を優位にして血圧、心拍、血糖を下げ、リラックスさせる治療効果がある。
チベット寺院で、病の癒しにも用いられてきたことは、間違いないだろう。つまり、「シンキング・ボウル」は立派な波動医療器なのである。勿論、その治療効果を謳って販売したら、現在の日本では違法になる。だから、楽器として販売されている。