(55)悪僧に惑わされない信仰を持つこと!
「「未来記」第十二章全文」
深信法華経而受持讀誦書写解説如法如説修行輩深禁此悪知識 而可専信正法沙門耳
(読み下し全文)
深く法華経を信じて受持、讀誦、書写、解説の如法、如説、修行の輩は深く此の悪知識を禁じ而して専ら正法の沙門を信ずる可きのみ
(現代語訳)
法華経を深く信じて受持、讀誦、書写、解説と教法に従い、仏の説いたとおりに実践する仲間は、この悪知識を深く戒め、そうして一途に正法を以てする僧侶を信じるだけである。
(現代注釈訳)
「受持」とは受け持つこと。「讀誦」とは経文を読み、暗誦すること。「書写」とは経典を書き写すこと。「解説」とは仏典の意義を説いて宣伝すること。「正法」とは正しい真理を顕した法のこと(仏法はその一つ)。「沙門」とは男性の修行者のことである。
(歴史的事実)
日本史では、鎌倉時代は旧仏教勢力と新仏教勢力が争った時代と分類されている。それは決して間違いではないが、それだけでは平面的な分析でしかない。
当時、旧仏教諸宗は公家や将軍の庇護を受けながら大きな力を持ち、新仏教勢力を弾圧して己の宗教を守ろうとしていた。その一方で、口先の念仏で極楽浄土を安易に約束する新仏教勢力に対し、「華厳宗」の高弁(明恵)や、「律宗」の叡尊らに代表される旧仏教派は、仏教の復興に尽力していた。その叡尊の弟子・忍性などは、行基に習って貧民救済や当時の医術である施療などの社会事業を行い続けた。日蓮などは、そんな努力すら嘲笑い誹謗を繰り返して信者を増やしていった。
(歴史的現代→日本)
国家神道に傾倒し、信じきった国民は、何の疑問を抱くこともなく、自らの命を天皇陛下の為にと投げ出していった。皇軍という美名に踊らされら人々は、一銭五厘の赤紙一枚で招集される駒に過ぎなかった。挙句の果てに、大本営を直轄する軍部は、嘘八百の戦果をがなり立て、消耗戦と戦後復興に不可欠な若い兵士たちを特攻に送り出し、万歳突撃で次々と玉砕させていった。それでも飽き足らず、今度は婦女子に竹槍を持たせ、自分たちの支配体制を守ろうと画策したのである。
動機が腐っていれば、行動にもそれが噴出する。日本軍部は己の私利私欲のために天皇と神道と国民を利用した。これは間違いなく国賊である。
「未来記」を読むまでもなく、政官財の癒着構造を未だに維持している自民党を救っているのが公明党である。小泉改革とは、ほとんどが看板のすり替えであり、官僚の天下りもそのまま維持され、弱者切り捨てで格差社会を次々と生み出しただけである。小泉政権が経済を回復させたというのは嘘で、単に中国の経済的躍進に乗った結果、良くなったように見えるだけのことである。
本来、政権交代で膿を出す必要があったにもかかわらず、与党で甘い汁を吸う美食になれた公明党が全面協力したため、政治浄化に機会を逸したと言える。「未来記」の観点から見れば、公明党をカモフラージュする創価学会の存在は、内から国を食いつくす獅子身中の虫となる。
(歴史的現代~近未来→世界)
アメリカで、少なくとも本道に戻ろうとする動きが見え始めている。2004年3月13日、オハイオ州選出の民主党下院議員デニス・クシニッチは、大統領選挙候補者の演説の中で、アメリカが世界を正しく導く骨子として「光りの世界政府」の演説をして観衆の喝采を浴びた。彼の演説を要約すると次のようになる。「アメリカは世界調和を求める国で、最初に手を出し宣べる国であり、援助を乞われたら、パンを差し出し、核兵器ではなく、食料を分配するのがアメリカの本来の姿だとした。さらにアメリカは世界を導く役目があり、世界の国々と協力し各国の平和を達成する使命がある。・・・・アメリカには世界を守り助ける力があるが、世界を管理することを望んではならない。」
アメリカ本来の理想が貫かれた演説であった。そこにはアメリカの掲げる崇高なスピリットがあり、それが実行出来たら、アメリカ主導の「世界政府」も悪くないと思われた。しかし、忘れてはならないことは、アメリカは世界最大の軍事大国であり、巨大な軍産複合体による兵器輸出が世界一を誇る死の商人国家でもある。さらに言えば、もし世界が平和になったなら、アメリカは莫大な兵器収入を失い、一気に没落の坂を転がり落ちで行くことになる。
アメリカが軍事的に世界を制覇し、アメリカ主導で世界政府を樹立するという構想がある。アメリカは現在、最も利己的で暴力的な手段で、弱肉強食による世界政府の構築を練っている。アメリカの軍部は常に世界政府を樹立する機会を狙っている。その機会が訪れた時、アメリカは必ず世界政府を立ち上げるだろう。それが博愛の世界政府であることをに望むが、動機が不純であれば必ずそれが行動に表れてくる。