(21)日本人の3割近い世帯がすでに貧困層
2016年3月、ホリエモン(堀江貴文)の発言が話題となった。「今の20歳の地方在住の社会人女子の生活水準はタイ・バンコクの同年代の女性と大差ない」「日本の非正規雇用の中高年はタイ・シンガポール・インドネシアの一般レベルより貧しい」という内容である。
IMFの調査では、2014年度の一人当たりの名目GDPのランキングで日本は27位の約380万円だという。20年前の1995年は3位、1990年から2001年まで日本はトップ5に入っていたのだ。小泉純一郎政権が発足後、物凄い勢いで下落していった。歴代政権がパパ・ブッシュのナチス勢力に日本の富を差し出すようになった何よりの証拠である。
2016年1月に発表された労働組合「連合」の調査によれば、非正規労働者2000万人のうち、7割が年収200万円以下であった。驚くのは年収100万未満が38・4%と全体の4割近くに達している事である。主稼得者(世帯で仕事をしている人)の世帯で見ても、非正規雇用の男性37・5%、女性48・9%がワーキングプアなのである。こうした非正規雇用は全労働者数の4割を突破している。つまり、日本人の3割近い世帯がすでに貧困層と言う計算になるのである。
先進国の人々の多くは、「茹でガエル」状態になっている。水の中にいるカエルをゆっくりと温めていくと、熱湯になるまで気づかない。それと同様に、自分たちがマフィアたちに茹でられていることに気付かず、危険な道を突き進もうとしている。日本人は現実をきちんと理解して向き合うべきである。
安倍政権発足後、「アベノミクス」の掛け声をよそに、日本の貧困率は急上昇している。それにもかかわらず貧困問題がクローズアップされることは少ない。逆に、景気が回復しているかのようなプロパガンダを信じている人も多い。
景気が回復したように感じるのは、街からホームレスが消えたからである。日本の貧困は非常に見えにくいのである。貧しくなった人は、「自分が悪い」と自虐的になって声を上げず、周囲も「自業自得」「怠け者」と切り捨てる傾向が強いからである。現在の貧困は、政府が構造的に作り出している。ハザールマフィアに貢ぐために日本人を貧困化して、その金を奪っているのである。貧困になった人は犠牲者であり。まだ貧困になっていない人も、いつ自分がそうなるかもしれない危険な状況を理解していない。
アベノミクスについてまとめておく。金融ジャーナリストの立場から意見を言えば、アベノミクスは完全に失敗した。いや、わざと失敗させた。アベノミクスでは国債を日銀に無条件で引き受けさせた。これ自体は間違いではない。日銀を政府の管理下に置いて、円を政府紙幣化する第1ステップになるからである。それでよかったのだ。政府が国債を発行して、それを日銀が引き受けて、その代金を円で支払い、その国債をゴミ箱に捨てる。別におかしな話ではない。もちろん、無軌道にお金を刷ればインフレで価値が暴落する。逆に言えば、暴落しないように投資をすればいいだけの話である。ここで、アベノミクスは間違った選択をする。つまり、国債引き受けで得た円を株式市場に投資した。株価が上がれば企業は設備投資して企業活動が活発になり、一般投資家も株で儲かるとアピールして強行した。これが嘘と出鱈目であるのは、一連の動きからも読み取れる。アベノミクスでは量的緩和で上がるのは株価と土地だけだった。政府か量的緩和を発表すると、日銀株が上昇する。次に総務省から家庭内支出が下がったと発表されて、日経平均が上がる。そうして日本人の生活水準は下がるのである。
日本人の生活水準と家庭消費が下がって日経株価が上がるというのは、日本の各家庭のお金が株式市場へと流れ込んでいることを意味している。それで誰が儲かるのか。既に日本の上場企業の多くは、外資の所有物になっている為、株価の上昇した分は、「闇の支配者」へと流れ込むのである。日本企業の株は国際ハザールマフィアの資金源となってきた。ここが問題である。
つまり、日本の上場企業の株を外資がファンドと信託銀行日本支社で押さえ、政府が日本の富を株式に投資して株価をつり上げる。その上昇分を担保に外資は、それにレバレッジをかけてニューヨークダウや先物のマーカンタイル取引所に投資し、やはり、株価をつり上げ、アメリカ経済が好調であるかのように見せかけてドルの価値を維持してきたのである。