(70)鉢とラッパの比較
(第一の鉢とラッパの比較)
「第一の天使が出て行って、その鉢の中身を地上に注ぐと、獣の刻印を押されている人間たち、また、獣の像を礼拝する者たちに悪性の腫れものができた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章2節)
「第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火とが生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、全ての青草も焼けてしまった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章7節)
(第二の鉢とラッパの比較)
「第二の天使が、その鉢の中身を海に注ぐと、海は死人の血のようになって、その中の生き物はすべて死んでしまった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章3節)
「第二の天使がラッパを吹いた。すると、火で燃えている大きな山のようなものが、海に投げ入れた。海の三分の一が血に変わり、また、被造物で海に住む生き物の三分の一は死に、船という船の三分の一が壊された。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章8~9節)
(第三の鉢とラッパの比較)
「第三の天使が、その鉢の中身を川と源に注ぐと、水は血になった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章4節)
「第三の天使がラッパを吹いた。すると、松明のように燃えている大きな星が、天から落ちてきて、川という川の三分の一と、その水源の上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」といい、水の三分の一が苦よもぎのように苦くなって、そのために多くの人が死んだ。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章10~11節)
(第四の鉢とラッパの比較)
「第四の天使が、その鉢の中身を太陽に注ぐと、太陽は火で焼くことを許された。人間は激しい熱で焼かれ、この災いを支配する権威を持つ神の名を冒涜した。そして、悔い改めて神の栄光を称えることをしなかった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章8~9節)
「第四の天使がラッパを吹いた。すると、太陽の三分の一、月の三分の一、星という星の三分の一が損なわれたので、それぞれ三分の一が暗くなって、昼はその光の三分の一を失い、夜も同じようになった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章12節)
(第五の鉢とラッパの比較)
「第五の天使が、その鉢の中身を獣の王座に注ぐと、獣が支配する国は闇に覆われた。人々は苦しみ悶えて自分の舌を噛み、苦痛と腫物のゆえに天の神を冒涜し、その行いを悔い改めようとはしなかった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章10~11節)
「第五の天使がラッパを吹いた。すると、一つの星が天から地上へ落ちてくるのが見えた。この星に、底なしの淵に通じる穴を開く鍵が与えられ、それが底なしの淵の穴を開くと、大きなかまどから出るような煙が穴から立ち上り、太陽も空も穴からの煙のために暗くなった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第9章1~2節)
(第六の鉢とラッパの比較)
「第六の天使が、その鉢の中身を大きな川、ユーフラテスに注ぐと、川の水が枯れて、日の出る方角からくる王たちの道ができた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章12節)
「第六の天使がラッパを吹いた。すると、神の御前にある金の祭壇の四本の角から一つの声が聞こえた。その声は、ラッパを持っている第六の天使に向かってこう言った「大きな川、ユーフラテスのほとりに繋がれている四人の天使を放してやれ。」 四人の天使は人間の三分の一を殺すために解き放たれた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第9章13~15節)
(第七の鉢とラッパの比較)
「第七の天使が、その鉢の中身を空中に注ぐと、神殿の玉座から大声が聞こえ、「事は成就した」と言った。そして、稲妻、様々な音、雷が起こり、また、大きな地震が起きた。あの大きな都が三つに引き裂かれ、諸国の民の方々の町が倒れた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章17~19)
「さて、第七の天使がラッパを吹いた。・・・(中略)・・・天にある神の神殿が開かれて、その神殿の中にある契約の箱が見え、稲妻、様々な音、雷、地震が起こり、大粒の雹が降った。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第11章15~19節)
多少の違いはあっても、同じことを言っていることは明らかだ。これらはすべて「第七の封印」に含まれていた災いであり、「第六の封印」とも共通している。
「また、見ていると、小羊が第六の封印を開いた。その時、大地震が起きて、太陽は毛の粗い布地のように暗くなり、月は全体が血のようになって、天の星は地上に落ちた。まるで、イチジクの青い実が、大風に揺さぶられて振り落とされるようだった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第6章12~13節)
なぜ「第七の封印」と「第六の封印」の災いが似通っているのだろうか?
第6の封印から第7の封印へ移行する間が、わずかしかないからである。
「小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章1節)
これにより、「七つの鉢=七つのラッパ」という図式が見えてくる。
それでは、「鉢を持つ七人の天使」と「ラッパを持つ七人の天使」が同じかというと、そうではない。
カッバーラの世界は、生命の樹と死の樹に代表されるように、陰陽一対で成る場合が多く、鉢とラッパも左右一対という陰陽の関係にある。第7のラッパで登場した「契約の箱」すなわちアークが、そのことを示している。
「さて、第七の天使がラッパを吹いた。…(中略)・・・・天にある神の神殿が開かれて、その神殿の中にある契約の箱が見え、稲妻、様々な音、地震が起こり、大粒の雹が降った。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第11章15~19節)
アークが陰陽一対を示すかというと、アーク自体の構造、アークの左右に座っているケルビムの姿がそれを物語っている。
「アカシヤ材で箱を作りなさい。寸法は縦二・五アンマ、横一・五アンマ、高さ一・五アンマ。純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作る。…(中略)・・・打ち出し作りで一対のケルビムを作り、贖いの座の両端、すなわち、一つを一方の端に、もう一つを他の端に付けなさい。」(旧約聖書「出エジプト記」第25章10~19節)
「ケルビム」は天使で象徴される神の栄光を示す。それがアークに左右一対で存在している。このアークが黙示録の「ラッパ」と「鉢」の境目に登場することが重要で、陰陽一対の仕掛けを教えてくれているのだ。