(56)まとめ
長らく培われた資本原理主義の経済体系によって、一部の超富裕層だけが富を手に入れ、権力をほしいままにしてきた。金融、石油、食、医療、ITを初めとして、社会システムからインフラ、そして生命としての生存自体が特権階級「ハザールマフィア」に牛耳られて久しい。
そして、史上まれにみる経済格差階級「マネーカースト」が生み出された。富める者はより富み、貧しき者はより貧しく、生まれた時から生涯の可能性が決められている不平等社会である。
しかし現在は、格差拡大や階級固定の流れを断ち切るチャンスの時でもある。日本や欧米に浸透する資本原理主義は今や目に見えて限界を迎えている。巨大な力を持ち、世界を思うが儘に支配してきたハザールマフィアの力に陰りが生じている。
ハザールマフィアが仕組んだ金融ペテン「ドルシステム」は、アメリカ経済とともに破綻の危機に瀕している。そして、アメリカは動き出した。ハザールマフィアを駆逐して、政府を、経済を、軍を、マスコミを、そして生活を、自分たちの手に取り戻そうとしている。
それも歴史の摂理なのだろう。かって隆盛を誇った古代ローマ帝国や漢王朝なども、結局は「格差」によって崩壊した。奢れる者は久しからずである。
今、アメリカに代わり、世界経済の流れをリードしているのは中国である。中国は「一帯一路」と「AIIB」により、人類史上最大ともなりうるプロジェクトを加速させている。そして国際会議で「人類運命共同体の共同構築」と言う理念を打ち立てて、新たな時代の覇者となることをアピールしている。
そして、2018年3月26日、中国はついに「人民元建て原油先物取引」を開始した。これは石油本位制ドル、しいてはドルシステム自体との決定的な決別の一歩である。
中国への世界経済覇権の移行と言う流れに対して、アメリカは焦りを隠せない。2018年4月、トランプ政権は中国に総額1500億ドルに及ぶ追加関税を打ち出し、「対中貿易戦争」の宣戦布告をしている。
しかし、この貿易戦争にアメリカの勝ち目はない。国民生活の隅々まで中国製品に依存しているアメリカは、根底から消耗していくだろう。それに対して中国は、アメリカからの輸入が途絶えたとしても、その代わりとして、ロシアやブラジルなどの交易を増やせば済む。「貿易戦争」の勝敗は既に決しているのだ。
アメリカは既に40年以上も巨額の貿易赤字を計上し続けてきた。そして、輸入品を受け取りながら、代金はいつも借金札(米国債)を渡すだけと言う「あこぎな商売」をしている。国際貿易の代金をツケで払ってきたのだ。そのツケは精算されず溜まっていく一方である。すでに世界の国々が、貿易相手としてアメリカを絶対視していない。それどころか「害」として距離を置こうとしているのだ。
トランプ政権が世界各国に対して本格的に貿易戦争を仕掛ければ、アメリカは世界から孤立するだろう。その先に待っているのは、深刻な経済停滞、そしてアメリカ政府の破産である。
時代の流れに取り残されているのは、ハザールマフィアに食い物にされ続けてきた日本などG7の国々である。どの国も中国に対抗できるだけの新時代のビジョンを提示できていない。生き残っていくためには、中国に対抗できる独自のプロジェクトを立ち上げる必要がある。
貧困や格差の拡大、地球規模の環境破壊、紛争など、世界の危機的状況を受け止め、そのうえで全世界がプラスになる未来のビジョンを持ったプロジェクトである。そしてそれを中国のプロジェクトと融合させていくのだ。現在、アメリカ破産後の新たな世界を構築するために、ペンタゴン、CIA、ロシア当局、アジアの結社などが極秘で話し合いを続けているという。
その裏で、ハザールマフィアの残党が、第3次世界大戦、全世界の金融システムのシャットダウンなど、世界を破滅させて再び権力を掌中に取り戻すための計画を推し進めている。
世界情勢、世界経済はカオスと化している。そして、その激動の中で、日本はまだ眠り続けている。このままでは、日本は確実に世界のマネーカーストの底辺へと転げ落ちて行く。そして多くの日本人は、その最底辺で貧困に喘ぎながら滅亡していくであろう。日本が、日本人が生き延びるためには、正確に世界の流れを見つめ、新しい時代に即した価値観を構築することが必要となる。