(2)イスラムの視点とイスラエルの視点で見たテロの様相
これは元公安調査部長の菅沼光弘氏の講演である。
この前、靖国神社に韓国の青年が爆発物を仕掛けたということがあった。安重根から始まって、韓国のために日本と戦った人たち、彼らはテロリストであるが、韓国側では義士と呼ばれて奉られている。例えば、靖国神社の社殿が炎上したら、韓国ではこの方は英雄として奉られただろう。そういうことで、テロとはいったい何のためにやるのか、最初に考えなければならない。
イスラム国(IS)のテロであるが、世界のメディアは全部イスラエル、つまりユダヤ人によって支配されているので、イスラエルの視点で見ている。ニューヨーク・タイムズの経営者はユダヤ人であり、イギリスの新聞もそうである。フランスの「シャルリ・エブド」と言うのも、チャップリンの名前を取った新聞で、ユダヤ人である。テレビも含めて世界中のすべてのメディアがユダヤ人によって支配されているという事実である。こういう世界の現状を見れば、世界に流れている報道はイスラエル寄りであることは明白である。
アラブの人達にとっては理不尽な主張が、全世界のメディアで支持されている。イスラムの人達は暴力を使ってテロをするからけしからぬと言う論調で、イスラエル擁護の主張が世界中を支配しているのである。
後藤さんが首を切られたが、多くの日本人はイスラム国と言うのはなんと残虐なのかと思われたはずである。しかし、戦国時代には、合戦の時、敵の武将の首を切って桶に入れて持ってきて、「私はこういうことをやりました」と首を見せるわけである。そして恩賞に預かったのである。今のイラクの地は、いろいろな部族が乱立して日本の戦国時代と同じような状況だという。つまり、日本国民にどれだけのショックを与えるか、彼らは計算したうえで、後藤さんの首を切ったのである。そして日本国民に大変なショックを与えて日本の人達にイスラム国の主張を分かってもらうと言うことなのである。
7世紀のムハンマドの世界、古いコーランの時代に帰って行こうというのが、イスラム国の主張である。当時、イスラムと言うのは世界最高の文明の世界だった。航海術を一番最初に確立したのはアラブ人で、アラブの航海術を習得してヨーロッパ人たちがアジアに進出することなったのである。十字軍の時代、ヨーロッパ人たちは野蛮で、イスラムは文明の世界だったのである。ムハンマドが教えを説いた7世紀に帰えり、コーランの教えを完璧に守ることがイスラムの願いである。
大東亜戦争は昭和16年12月8日に真珠湾攻撃から始まったが、その直後にあったマレー沖海戦において、大英帝国の主力戦艦を日本海軍の飛行機が撃沈した。このことはイギリスにほぼ支配されていたアジア諸国だけでなく、中東にも歴史的衝撃を与え、物凄い影響を与えたのである。これにいち早く反応したのがユダヤ人である。当時のイスラエルの地はイギリスの信託統治下にあり、植民地だった。ユダヤ人を含めてすべての中東の人達はイギリスに抵抗できないと考えていた。ところが、同じアジア人で、しかもイエローモンキーと言われる日本人がイギリスに勝った為、イスラムの知識人はみんな親日家になってしまったのである。文明の遅れたアジア人によって、ロイヤルネイビーの主力戦艦が一撃でやられてしまい、本当に大変なことだったのである。1946年に、キング・デビッド・ホテルが爆破された。モサドの前身の秘密組織の指令を受けたコックが地下室に爆弾を仕掛けたのである。これは政治的テロだった。イスラエルの建国はここから始まったのである。イギリスは逃げてしまい、第2次世界大戦後、イギリスの植民地が次々と独立していったのである。「プリンス・オブ・ウエールズ撃沈が世界史を変えた」と有名な歴史家が言っているが、知らないのは日本人だけである。
パレスチナ人にとって岡本公三は英雄である。日本人がパレスチナのために自らの命を犠牲にしてユダヤ人を撃ち殺した。パレスチナの大義のためにやったのである。フランスでは自爆テロの事を「カミカゼ」と呼んでいる。「カミカゼ」と関係があるのは、日本赤軍の3名の若者の行動である。日本赤軍の若者はイスラムの為、アラブの為、パレスチナのために自ら身を捨てたのである。
だから、日本は尊敬こそされイスラム人が日本人に対してテロをやるなどと言うことは100%無いのである。
1970年代、1980年代ごろまでは古い世代の日本のイスラム学者たちは中東情勢について、全てアラブの視点から見ていた。すると、ヨーロッパは敵になる。ところが、ユダヤ人が世界のメディアを支配したため、全て欧米の目線でしか判断できなくなったのである。こういう状況で、日本はテロの標的になる可能性が出てきたのである。日本に対するテロは30%の可能性があると言いたい。(菅沼氏)
世界中のどの国にも情報機関があるが、日本だけに無いのは、アメリカが作らせなかったからである。そして、今ではもう遅すぎる。いま日本がやっていることは、イギリスやアメリカ、イスラエルのモサドから情報をもらっているだけである。彼ら(欧米)は日本とイスラムが手を結ぶことを嫌っている。彼等から見れば、日本は天皇を頂いた特殊な国であると思っている。天皇があって日本が出来たのである。戦前の皇室は、国民の税金で食っていたのではなく、皇室の財産があったのである。戦後、アメリカによって、皇室が使うお金を全部国民の税金から取る仕組みに変えてしまった。(菅沼氏)