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日本と天皇の機密(5)

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(5)文字の無い時代に口伝で伝えられてきた歴史は極めて正しい(菅沼氏)

 天皇と言うのは、神様と非常に関係があるというよりは、まさに神様そのものだった。昭和20年8月15日に終戦の詔勅が出されて、マッカーサーが乗り込んできた。アメリカのGHQが一番最初にやったことは、天皇の神格性を否定させることで、翌昭和21年元日、天皇は「私は神ではありません」という「人間宣言」をされた。

 「古事記」とか「日本書紀」は神話の時代の話で、古来言い伝えられてきた物語を集積したものです。言い伝えは不正確だから全く歴史としてはダメだよと言うことではない。実は昔の言い伝えは非常に正確なんですよ。昔、僕は南アフリカへよく行きましたが、アフリカは全く文明の無い暗黒大陸と言われた。南アフリカに一番多い種族はズールー族といって、一人一人が哲学者みたいな顔つきをした黒人です。彼らは文字が無かったから、彼らには歴史が無かったと言われた。ところが、南アフリカの研究の結果、この人たちの間で言い伝えられてきたズールー族の歴史と言うのが出てきたわけです。これによると、アフリカ大陸の黒人の歴史は大変なもので、昔ギリシャ、ローマではアレキサンダー大王とかいろいろな名前が出てきますが、これに匹敵する英雄が続出している。口伝えで伝えられた物語は、文字が無い時代にもかかわらず、大変正確なんです。

 それと同じように、日本の「古事記」「日本書紀」に語られた物語は、我々の先祖が伝えてきたものです。「日本書紀」の場合、いささか問題がありますのは、中国の「史記」と言う歴史書をモデルにして編纂したものですから、「古事記」には「いついかなる時に」ということは書いていませんが、「日本書紀」は、これは日本国家の正史でありますから、何年何月何日の何」と書いてある。

 一番の問題は何か? 「日本書紀」は天智天皇のあたりから始まりまして推古天皇と言う流れになっている。推古天皇時代から世の中が変わったことを前提にして、それから1200年前に神武天皇が即位されて日本国家が出来たということを「日本書紀」が書いたものだから、神武天皇は何百歳生きたことになり、年齢が合わない。しかし、伝えられている内容は本当です。

 何故、「古事記」や「日本書紀」が編纂されるようになったのか? この発想は天智天皇から始まったわけです。それまで沢山の王国が乱立していた倭の国を統一して日本国家を作り上げたのが天智天皇です。同時に天皇と言う称号も作られ、天智天皇からさらに天武天皇、推古天皇と続いて言って日本国家は完成していくわけです。その時の考え方は、アジアでは中国の皇帝に対して朝貢していたが、日本は「我々は中国の属国ではない。日本には独自の歴史がある」ということを内外に宣言します。「日本書紀」の編纂はそういう意味を持っているわけです。そして、日本の歴史は天照大神から始まっていろいろな神々を経て神武天皇に続いていくと主張したのです。こうしてアジアの国の中で、中国の属国になったことのない国は日本だけなんです。

 中国と、北朝鮮の間に流れる鴨緑江の真ん中あたりの集安と言う町に、中国の世界遺産として高句麗の時代に遺跡がある。そこには「広開土王碑」と刻んだ石がある。石の上には、日本から朝鮮半島に軍が押し寄せてきて、百済、新羅が日本に占領されたのが西暦391年、その後、高句麗と熾烈な戦争をやったのが404年と、書いてあるんですよ。朝鮮半島からの大きな圧力に九州地方がさらされて、それに対抗するために神功皇后が朝鮮半島まで攻め上がった三韓征伐の物語と、高句麗の好太王の業績を記念して作った碑文が、時代的にまったく一致するわけです。

 「広開土王碑」というのは今中国が世界遺産として管理していますが、中国の学者たちは日本の学者の読み方が正しいと言っている。韓国の学者たちは、その事実を否定するために、日本が改竄したとか文句をつけているわけです。実は朝鮮半島からのいろいろな圧力が日本国家の形成に一番大きな影響を与えてきたということです。日本国家は、朝鮮半島の圧力によって出来上がったと言ってもいい。おそらく、日本国憲法によって作り上げられた戦後体制も、朝鮮半島からの危機によっていろいろな形で変わっていくのではないかと思うわけです。


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