(2)マヤ預言騒動
暗黒天体が出現した2012年の暮れ、世界中で騒ぎが起こった。マヤ預言である。古代マヤ文明の長期歴が2012年12月21日~23日で終わることから、この世の終末が来るのではないか、人類は滅亡するのではないかと言う説が注目された、幸いにして、12月21日~23日は目立った事件や事故や災害は起こらず。人類は無事にクリスマス・イヴを迎えることが出来た。
1999年のノストラダムス騒動の時もそうだったが、一般の人は期日が過ぎると、預言の事は無かったかのように忘れしまう。多くの人はマヤ預言を口にすることも無くなった。
だが、一連のマヤ預言騒動において、当日、暗黒の3日間が襲ってくると喧伝する一派があった。地球は勿論、太陽系全体が超電磁波帯に突入し、地上は漆黒の闇に包まれる。暗黒は3日間続き、その間、あらゆる電子機器は使用不可能となり、世界中が混乱すると主張する。彼らは宇宙の超電磁波帯の事を「フォトンベルト」と呼ぶ。フォトンとは光子の事である。銀河系にかかる巨大ドーナツのような形でフォトンベルトは分布しており、2012年12月21日~23日に地球が底に突入するという。最初は、ヌルゾーンと言う領域を通過するため暗黒となるが、その後、地球は逆に夜がない光の世界へと移行するという。
しかし、実際に暗黒が訪れなかったことでも分かるように、フォトンベルトは虚構である。そもそも光子=フォトンは電磁波を量子化したものであり、宇宙空間で帯状に分布するはずもない。これは、オーストラリアの雑誌「NEXUS」に乗った記事がもとになっているのだが、内容は小説である。既に女子大生が書いたフィクションであることが判明している。
ところが、フォトンベルトには笑えない部分がある。ベルトをフィラメントと置き換えればわかりやすい。プラズマは電流に沿って発生するので、太陽表面のような状態では、ひも状に伸びることがある。こうしたプラズマ流の事を「フィラメント」と呼ぶ。宇宙空間は真空ではない。宇宙空間には大量の電流が存在することが分かってきた。これを専門的に「ビルケランド電流」と言う。媒介となっているのがプラズマである。つまり、全宇宙にプラズマは分布する。極端ことを言えば、宇宙はプラズマに満ちており、星々は高エネルギーのプラズマ・フィラメントで結ばれている。銀河系や太陽系も地球も例外ではない。
ここ十数年間に、天文学の常識や宇宙論の定説は根底から覆されている。この宇宙を支配しているのは重力ではなく、電磁気ではないかと言う発想が出てきた。これが「プラズマ宇宙論」である。
ビッグバンが事実なら、宇宙全体に均一に物質が分布しているはずだが、そうではなかった。銀河が集中する場所と全くない場所があり、それがあたかもバブルが集合した構造をしていたのだ。これを「宇宙大規模構造」という。これらが判明した時点で、多くの科学者はビッグバン理論に疑問を呈した。だが、インフレーション理論や宇宙ひも理論などの理論が新たに提唱され、かろうじてビッグバン理論は命脈を保っている。
しかし、1980年代後半から1990年前半にかけて、反ビッグバン論を標榜する科学者たちは、プラズマ宇宙論を構築し始めていた。NASAは慈善団体ではなく、アメリカ軍の利益のためにある機関であり、軍事衛星を打ち上げる軍事機関でもある。それゆえ、重要なデータを絶対に公表されることはない。NASAは天才児とされる子供たちを世界中から集め、英才教育を施し、全く新しいパラダイムを構築している。いわゆる、裏NASAの存在である。世界中の人々が空論であるビッグバン理論を信じ込んでいる一方で、裏NASAは有能な科学者たちを集めてプラズマ宇宙論を完成させ、それを基に宇宙戦略を立てているのである。