(64)「地中から現れる獣」
今度は地の中から獣が現れる。第2の獣が出現するのだ。象徴ではあるが、明らかに先の獣とは別物である。なぜならヨハネがそのように記しているからである。
「わたしはまた、もう一匹の獣が地中から上がって来るのを見た。この獣は、子羊の角に似た二本の角があって、竜のようにものを言っていた。この獣は、先の獣が持っていたすべての権力をその獣の前で振るい、地とそこに住む人々に、致命的な傷が治ったあの先の獣を拝ませた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章11~12節)
「子羊の角に似た」というのは、羊飼い=イエス・キリストに似た者という意味である。1本の角は自らを救世主と宣言する世界総統であり、もう1本の角は、自らを神権の継承者と名乗る羊飼い、つまり法皇のことである。「似た」と言っているのだから、そのように見えても実はそうではないという意味である。
巨大な軍事力を背景にした強靭な祭政一致体制は、一気に軌道に乗り、軍事衛星を介して降って来る高熱プラズマは、世界中を恐怖に陥れる。
元々偶像を立てて礼拝してきたバチカンは、神と崇める世界総統の像を何の躊躇もなく世界中に置くだろう。逆らう者には鉄槌を下される。
「そして、大きなしるしを行って、人々の前で天から地上へ火を降らせた。さらに、先の獣の前で行うことを許されたしるしによって、地上に住む人々を惑わせ、また、剣で傷を負ったが尚生きている先の獣の像を造るように、地上に住む人に命じた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章13~14節)
世界総統に匹敵する力を持つ者は、人類史上一人も存在しない。栄華を誇ったローマ皇帝でさえ足下に及ばず、ヒトラーでさえ霞んでしまう。それほどの絶対権力を世界総統が手中にするのである。それでも武器をもって抵抗する人々や組織はあるだろうが、全てが駆逐されてしまう。ロシアも中国も、本音を隠して恭順の意を示し、表立って抵抗はしない。最後の瞬間がやってくるまで、従うふりをするはずである。
外交は世界独裁体制の下では死んだも同然で、全ての決定は世界総統が下す。こうして世界は、サタンが支配する絶対恐怖政治の下に置かれる。
「第二の獣は、獣の像に息を吹き込むことを許されて、獣の像がものを言うことさえできるようにし、獣の像を拝もうとしない者があれば、皆殺しにさせた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章15節)
ヨハネの時代なら夢物語でも、21世紀に突入した今では不思議でも何でもない。科学技術の進歩は著しく、無機物の集合体が人と同じように走り、話し、考えてくれる時代である。バイオテクノロジーも飛躍的に進歩し、人工的な縛りさえなければ、どんな生物でも生み出せる。自分と同じコピー人間をクローンで造り出せるようになっている。マイクロチップを脳に埋め込んで、通常能力以上の人間を造り出すことも可能となっている。不眠不休で敵を殺す無敵兵士を造り出すことも夢ではないのだ。人が造物主と入れ替わる時代こそ、最も危険な時代であり、獣の出現はむしろ必然の流れともいえる。
絶対権力を得た人間がやることは、古今東西決まっている。自分の意に従わない者を虐殺する恐怖政治を始めるのである。未だかってないほどの権力を手中にしたならなおさらで、虐殺が空前絶後の規模で行われるだろう。
その頃の世界は、太陽活動の異常と、それに伴う大規模な温暖化により、かってないほどの異常気象に見舞われる。大規模な干ばつと洪水が世界中を襲うのである。当然、農産物は壊滅状態になるから、世界中は飢えと恐怖の中、まるで北朝鮮が巨大化したような世界に住むことになるだろう。
絶対権力者にとって、食料不足は民衆を支配する格好の材料であり、逆らうものを飢え死にさせる有効な手段でもある。
「また、小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧しい者にも、自由な身分にも奴隷にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。そこで、子の刻印のある者でなければ、物を買うことも、売ることもできないようになった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章16~17節)
世界総統は、幼児どころか赤ん坊まで支配下に置こうと画策する。番号を付けて管理するのである。時には子供を盾にしながら、反抗する親を抑え込もうとするだろう。
世界中の人間を支配するには、人質と連帯責任と密告社会にするのが最も安上がりで効果的である。そうなると冤罪などは日常茶飯事で、疑わしい者はすべて抹殺される社会になるだろう。
それでも反抗しようとする人間を識別するために、この男はインプラント(あるいはバイオ)を使う。これを額か右手に埋め込むかプリントすることで、人々の動向をすべて把握しようとするのである。これは日本が世界に先駆けて進めている「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」に近いもので、一人の人間の全てをデータ化、瞬時に解析できる。→(マイナンバー制度も同じだと思う)
現在、日本政府は住基ネットに蓄積されたデータはごくわずかだとしているが、そんなものは詭弁に過ぎない。その気になれば氏名、住所、連絡先、生年月日、学歴、職歴、医療歴、犯罪歴、資格、収入、ローン額、貯蓄高、税金の支払い、不動産どころか、いつどこでどこ行きの電車に乗り、どこで降りたかも分かるし、「DSNシステム」と連動させれば、車の動向も筒抜けになる。
そもそも、役人が住民を監視しやすい社会にするのが住基ネットの目的であり、将来的には他の様々なデータとつなぎ合わせ、全ての個人情報を監視する気でいる。これが日本の官僚が推し進める「国民総背番号制」の正体である。