(11)核保有国パキスタン、インド、中国の動き次第で核戦争はいつ起こってもおかしくない
キッシンジャーの「国際秩序」という本の中に、「国際秩序は今まで一度も形成されたことはない」と述べている。
小さな国際秩序としては、1964年にヨーロッパで成立した「ヴェストファーレン条約」があり、ヨーロッパだけの条約なので、全世界に通用するものではなかった。それでも、第二次世界大戦後は、それが1つのモデルになって、国際法の原点になっている。しかし、国際法と言っても、強制力がないので、中国に海洋法を守れと言っても守らない。秩序という法律を作っても、あまり意味がなかった。それだと世界中で混乱状態が続くので、なんとしても第三次世界大戦を防がなければならない。
今、想定されている戦場はシリアをはじめとする中東である。シリアの隣にはイラクがある。そもそもの現況は、サイクス・ピコ協定である。これはフランスとイギリスとロシアが1916年、第一次世界大戦の真っ直中に、イラクと今のシリアの間に勝手に領土分割の線を引いた。これによって、イギリスがイラク、フランスはシリアを統治することになった。そこにはロシアも入っていたが、ロシアはロシア革命が起こったので、途中から手を引いた。そういうわけで、中東はなかなかまとまらないのである。
イラク戦争では、アメリカが介入してイラクのフセイン大統領を抹殺した。あれが大きな間違いだった。今のISはフセイン大統領の親衛隊の残党が中心になっている。しかもISを作ったのはアメリカのCIAとモサドである。自分たちで作っておいて今やられているのだからアホみたいな話である。フランスとイギリスにどんどん難民が来るのは仕方ないことである。あれは自分達がやったことのつけを払っているのである。それを日本に押しつけられても困る。ところが、日本は「平和安全法制整備法」という変な法律を作って駆けつけ警護をできるようにした。南スーダンも、中国とアメリカがぐちゃぐちゃにして、大統領派と副大統領派が二つに分かれて内戦をやっている。そこに日本が行く理由がどこにあるのか、じっくり考えていかねばならない。
想定されている戦場の二カ所目がパキスタンとインドで、お互いに核兵器を持っている。それ故核戦争はいつ起こってもおかしくない。
今、問題になっているのが朝鮮半島である。北朝鮮と韓国は休戦中なのでいつ再会してもおかしくない。実は、日本だけが大騒ぎしている。北朝鮮からサリンを積んだミサイルが飛んできてばらまかれたらどうすると心配している。防衛省の担当局長が「上で打ち落とせばサリンは拡散しても薄まるから全然被害がない」と言っていた。そういう状況をなんとしてもやめさせなければならない。そのために、キッシンジャーは新しい国際秩序を提唱している。